【砂の城】インド未来幻想
「ナーギニー……私の指名を受け入れてくださいますね?」

 少女の眼前に(おもむ)き、(ひざまず)く王。

 その右手を取って、四度目となる返事を待つように見上げる。

「わ、たし、は……」

 ナーギニーもまた王の視線に囚われたように、(こうべ)を垂れて言葉を紡ぎ出した。が、その息遣いは苦しく、かろうじて聞こえる小声が(かす)れては途切れ出でる。

「――たし……は、シャ……ニ、さ……」

 胸元に熱さを感じ、左手がサリーの(ひだ)ごとブラウスの下の指輪を握り締めた。途端其処から溢れる内なるエネルギーが、ナーギニーの瞳を最大限まで見開かせた。

「ナーギニー?」

 なかなか答えの続かない少女へ、(いぶか)し気に問いかける。その(まなこ)に映ったのは、何かと格闘するように(あらが)う少女の双眸だった。

「わ……ったし、は……た、しは……――!」

 シャニの手から(のが)れた右手も胸に添え、ナーギニーは(あえ)ぎながら膝を落とした。反面シャニは戸惑いを隠せぬように驚き立ち上がった。そして感じる、少女の向こうの宮殿入り口から、大きな『力』の近付く気配を―― !


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