【砂の城】インド未来幻想
「お前……何処に行っていた! この儀礼はお前ごときが同席出来る場所ではないっ! 早く去れ……去らぬなら……今すぐ捕らわれよ!!」
シャニは突然吠えるように、入り口の影に怒鳴り立てた。途端剣を構えた家臣達が、そのシルエットに立ち向かう。だが眩い光を放った影は、彼らの剣先を触れさせることさえ許さなかった。
「ナーギニー……遅れて、ごめん」
ゆっくりと、ゆっくりと、着実に一歩ずつ歩み寄る光の影は、慈しむように愛おしむように言葉を綴った。それでも少女は背を向けたまま、膝を突き、手を着いて、苦しみの息を吐き出し続けている。
「無駄だ。彼女はもう私に支配された。私の唇は彼女に触れ、私の眼は彼女を見たからな……お前とて、既に操るなどたやすいことだ……何年あの琥珀を飲んだ? あれだけ体内に含めば、もはや触れずともお前を――」
「ナーギニー……おいで」
足元で苦悶するナーギニーを眼下に、シャニは不敵な嗤いを正面に向けていた。けれど其処に立つ光の影は、依然近付きながら少女の背中に囁き続けた。
シャニは突然吠えるように、入り口の影に怒鳴り立てた。途端剣を構えた家臣達が、そのシルエットに立ち向かう。だが眩い光を放った影は、彼らの剣先を触れさせることさえ許さなかった。
「ナーギニー……遅れて、ごめん」
ゆっくりと、ゆっくりと、着実に一歩ずつ歩み寄る光の影は、慈しむように愛おしむように言葉を綴った。それでも少女は背を向けたまま、膝を突き、手を着いて、苦しみの息を吐き出し続けている。
「無駄だ。彼女はもう私に支配された。私の唇は彼女に触れ、私の眼は彼女を見たからな……お前とて、既に操るなどたやすいことだ……何年あの琥珀を飲んだ? あれだけ体内に含めば、もはや触れずともお前を――」
「ナーギニー……おいで」
足元で苦悶するナーギニーを眼下に、シャニは不敵な嗤いを正面に向けていた。けれど其処に立つ光の影は、依然近付きながら少女の背中に囁き続けた。