【砂の城】インド未来幻想
[終焉]
「シャニ……どうしてこのような暴挙に出た? 私はどんな恨みを買ったのだ?」
全てを取り戻した『シヴァ』は、『パールヴァティー』の肩に手を置いたまま、横で立ち尽くすシャニに静かに問うた。記憶を奪い、人間界に命を授からせてまで成された意味を、シヴァには気付けていなかった。
「だから私はお前を疎んだのだよ、シヴァ……お前は万能でありながら、欠如した私を卑しめたのだ。辱め、蔑み、ただ憐みの眼だけを私に注いだ」
シャニはこめかみに汗を光らせ、口惜しそうに哂った。
「私の眼が邪まであることを知りながら、お前は息子ガネーシャの誕生披露に私を招いたのだ。この邪眼が見た物全てを壊すことを知りながら、お前達は私に息子を見てやってくれと願った。覚えているか? あの瞬間を……私の眼がガネーシャの眉間に合わされたあの時を……案の定我が眼はお前の息子の首を飛び散らせた。なのに通りすがりのゾウの首に挿げ替えて、お前は私に幾ばくの非も与えなかったあの刻を――」
シャニの奥歯がギリリと音を立て食い縛られた。
全てを取り戻した『シヴァ』は、『パールヴァティー』の肩に手を置いたまま、横で立ち尽くすシャニに静かに問うた。記憶を奪い、人間界に命を授からせてまで成された意味を、シヴァには気付けていなかった。
「だから私はお前を疎んだのだよ、シヴァ……お前は万能でありながら、欠如した私を卑しめたのだ。辱め、蔑み、ただ憐みの眼だけを私に注いだ」
シャニはこめかみに汗を光らせ、口惜しそうに哂った。
「私の眼が邪まであることを知りながら、お前は息子ガネーシャの誕生披露に私を招いたのだ。この邪眼が見た物全てを壊すことを知りながら、お前達は私に息子を見てやってくれと願った。覚えているか? あの瞬間を……私の眼がガネーシャの眉間に合わされたあの時を……案の定我が眼はお前の息子の首を飛び散らせた。なのに通りすがりのゾウの首に挿げ替えて、お前は私に幾ばくの非も与えなかったあの刻を――」
シャニの奥歯がギリリと音を立て食い縛られた。