【砂の城】インド未来幻想
「さぁ、集まりたる紳士・淑女の各々方よ! 今一度、(うたげ)を盛り上げようではないかっ!!」

 嬉しそうな王の叫びに、民は再び歓喜の声で呼応した。果たして舞台奥の暗がりから、地響きのような太鼓の音が紡がれ始める。闇の(うごめ)きから突如紅い点が生まれ、徐々に辺りに染み渡り、それは一瞬の内に舞台の中心に踊り出で人型を造った。実際には紅い布を被った少女が、それを()ぎ取り踊り出したに過ぎない。典型的な南インドのどぎつい面持ちをした少女は、光沢のある茶色い細腕と骨張った胸を揺さぶりながら、視線は情熱的にシャニへ向け、激しいダンスを展開していった。

 身長はそれなりに高いが、ナーギニーよりずっと年下に思われる。鋭い動きの中に幼さが残り、それがむしろ妖しさを引き出している。固唾(かたず)を呑み注目する観客の中、中盤を迎えた踊りは更にスピードを増し、回転を多く取り入れた痩せぎすの足は、舞台の隅々までを余すことなく踏み締めた。


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