【砂の城】インド未来幻想
 =次が午前最後となります。……二十五番、ガルダ村、シュリー!=

 華やかな衣装をひけらかした少女が退場し、再び整えられた舞台の隅に、痩せこけた男が進み出で叫んだ。ナーギニーは自分の名を呼ばれたようにハッと顔を上げた。あのシュリーの出番であった。

 ナーギニーの胸には緊張がほとばしり、手を合わせずにはいられない。舞台へ上がるシュリーも同じく波打つ鼓動を抑えているのだろうか?

「失礼致します、王様(ラージャー・ジー)

 けれど大勢の視線が注がれる中央、深いグリーンの民族衣装で身を飾ったシュリーは、自信という力強いエネルギーを全身から輝き放ち、ナーギニーの考えたものとはまるでかけ離れた姿をしていた――。



[註1]祭のルビを「プージャー」と致しましたが、実際「プージャー」は神像礼拝の儀礼を意味します。ヒンディー語では本来「メーラー」を用います。


[註2]パンジャビ・ドレス:この呼び名が日本では定着していますが、現地では「サルワール・カミーズ」というのが一般的です。


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