【砂の城】インド未来幻想
「どうせ無駄なことは分かっているけれど、結果を聞きにいってくるのさ。……まぁ、明日からはイヤって言うほど働くことになるだろうから、今の内にゆっくり休んでおくがいい。皆で最後の祭りを楽しんでくるから、お前は留守番でもしておいで」
あれほど優しかった筈の母親の面影は、もう何処にも見出せなかった。冷たく言い放ったその表情は、憎悪で歪み淀んでいる。ナーギニーは一瞬驚きと哀しみを隠すことも出来なかったが、眩暈によりふらつく身体をどうにか起こし、母親の足元に跪いて、一緒に連れていってくれるようにと懇願した。
「そんなに皆に嘲笑われたいのかい? ……いいさ、ついておいで。でも途中でぶっ倒れたって、わたしらは知らないからね」
母親の見下した態度と視線に耐えたのち、ナーギニーは急いで支度を整え、青年の白いマントを慌てて探し始めた。もう優勝を逃したとなれば、返す機会は今日しかない。けれど幾ら探しても隠した鞄は見つからず、マントの一片さえも見当たらなかった。そうしている内に皆が外へ出ていく気配を感じ、少女は致し方なくその後を追いかけた。
あれほど優しかった筈の母親の面影は、もう何処にも見出せなかった。冷たく言い放ったその表情は、憎悪で歪み淀んでいる。ナーギニーは一瞬驚きと哀しみを隠すことも出来なかったが、眩暈によりふらつく身体をどうにか起こし、母親の足元に跪いて、一緒に連れていってくれるようにと懇願した。
「そんなに皆に嘲笑われたいのかい? ……いいさ、ついておいで。でも途中でぶっ倒れたって、わたしらは知らないからね」
母親の見下した態度と視線に耐えたのち、ナーギニーは急いで支度を整え、青年の白いマントを慌てて探し始めた。もう優勝を逃したとなれば、返す機会は今日しかない。けれど幾ら探しても隠した鞄は見つからず、マントの一片さえも見当たらなかった。そうしている内に皆が外へ出ていく気配を感じ、少女は致し方なくその後を追いかけた。