婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。

 それから一週間後、ラティは次の認定試験のためコートデール公爵家の領地へと旅立った。
 僕はどうしても外せない政務があって、あとから追いかける予定だ。そんな中、面会の約束をしていたイライザとジルベルトが執務室へやってきた。

 イライザは執務室へ入ってくるなり、僕に強く訴えた。
 
「本当に、本当ーにフィルレス様はひどいですわ!!」
「イライザ、ごめん。フィルレス殿下ではなく、俺が悪いんだ」
「いいえ! わたくしのみならず、ジルにまで裏で話を持ちかけていたなんて、まっっったく存じませんでしたわ!!」

 ああ、そのことか。
 実はイライザが審判(ジャッジ)として判定するように持ちかけたのは僕だ。悪女のふりでラティをしっかり見極めると父親に話し、課題は好きにすればいいと伝えた。僕と同類のイライザはそれで僕の言いたいことを理解したようで、喜んで立候補した。

 その後、ジルベルトから内密に会えないかと打診をもらった。
 ふたりがすでに恋人同士なのは知っていたから、計画をより確実なものにするためにジルベルトにも協力を仰いだのだ。

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