婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。
「さて、それでは事前に手紙でも知らせたが、本日は調査のために集まってもらったのだ。調査といっても形式はお茶会なので、ゆるりと過ごしてほしい」
「かしこまりました。では、その調査内容をお聞きしても?」
ラティシアはなにも聞かされていないようで、ルノルマン公爵に質問する。これからわたしたちが地獄に叩き落とすというのに呑気なものだと鼻で笑った。
「まずは、カールセン伯爵家からだ」
どうやらわたしたちが最初らしい。すぐにやってきたチャンスに、思わずに笑いそうになった。得意満面のマクシス様が、お義姉様の低能ぶりを話しはじめる。
「はい、実はラティシアは義妹であるビオレッタを、散々虐げておりました。私は以前よりそのことを相談され、ビオレッタも後継者であることから、カールセン伯爵家を守るために正義を貫き通したのです。しかし、どうやったのかフィルレス殿下に取り入り、婚約者になってしまうとは……非常に驚いております。また国の今後を考えても、決してよい状況ではないでしょう」
「わたしも証言いたします。お義姉様にはつらく当たられ、さまざまな用事を言いつけられ苦労していました。ですがマクシス様に救っていただき、やっと幸せになったのです。ですが、そんなお義姉様が王太子妃になるとは……わたしはこれから先は不安で仕方ありません」
わたしとマクシス様は息を合わせたように、お義姉様を貶めていく。