婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。
裏切り者の末路③
ルノルマン公爵家で茶会が開かれるずっと前から、僕は王太子として使えるものをすべて使って準備をしてきた。
ラティを妻にすると決めた時に仕込んだ罠が、獲物を捉えてもう仕上げを待つだけだ。
「カールセン伯爵である私の処分とは、どういうことですか!?」
「フィル様。私もわかりません、どういうことですか?」
マクシスが意味がわからないと憤慨している。本当に愚かな男だ。宝石を捨て、道端の石を拾ったことにまだ気が付いていない。その石はもう絶望の表情を浮かべている。さすがに逃げ場がないとわかっているようだ。
それにしても、ラティが僕に翻弄されている様子が愛しくてたまらない。今はラティの頭の中が僕でいっぱいなのかと考えると、自然と笑みが浮かぶ。
「どうもこうも、調査結果の裏付けがほしかったから、ルノルマン公爵たちに僕が頼んだのだけど」
「調査というのは、ラティシアのことでは……?」
ラティと違ってこの愚か者には、なかなか話が通じない。僕の説明が悪いのか、理解する能力が足りないのか、どちらにしても面倒だ。
それに僕のラティをいつまでも自分のもののように話されて、いい加減ブチ切れそうだ。