婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。
職権濫用ですよね!?
衝撃のお茶会が終わって、レポートをなんとか書き終えまったりとした時間を過ごしている。
専属治癒士は毎日の健康観察が終われば、いざという時までほぼ出番がない。もちろん喜ばしいことなのだが、時間を持て余してしまうのだ。
だから余計なことまで考えてしまう。
元婚約者と義妹に着せられた汚名も、地に落ちたカールセン家の名誉も、全部フィル様が元に戻してくれた。
その際に、今まで私が治癒してきた貴族のご婦人やご令嬢たちが協力してくれたと聞いて、私の誇りも認められたようで嬉しかった。
アリステル公爵家やコートデール公爵家が率先して事実を広めてくれたので、これからはずいぶんと過ごしやすくなりそうだ。
誰も三大公爵家に反するような態度は取らない。腹の中は別かもしれないが、今までのような意地悪がなくなるだけでもありがたかった。
だけど、元婚約者と義妹はその後どうなったのだろうか。気になっていたけど、フィル様は笑顔のまま話をはぐらかすし、事実はわからない。