婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。
そして運命の昼食がやってきた。
私は忠実に自分の職務を果たし、偶然にもエルビーナ様が離れていく結果になったけれど今回はうまくいくだろうか? 今日で決着をつけるべく、私は気合を入れる。
昼食を摂るために食堂へ行くと、すでにエルビーナ様が席に着いていた。私とフィル様が来たことに気が付くと、すぐに立ち上がりフィル様に擦り寄ってくる。
「フィルレス様! 来るのが遅いですわ! とんだ邪魔が入ってしまいましたが、やっとゆっくりお話ができますわね!」
「そうですか? おかげで政務がとても捗りましたが」
「そんなに照れなくてもよろしくてよ。わたくしがいては、この美しさに気が逸れてしまうのでしょう? 仕方のないことですわ」
「……僕の好みは銀色に輝く月光のような髪と、神秘的な紫の瞳なんです。それ以外には興味も湧きませんね」
「あら、ではこれから好みが変わりますわ」
笑顔でズバズバ切り捨てるフィル様に食いつくエルビーナ皇女のガッツがすごい。
ある意味このガッツを他に向けたら、とんでもない逸材になるのではないだろうか。だけど私だって王城の勤務と治癒室の業務で鍛えられてきた。