婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。
そうだ、いくらフィル様でも空を飛ぶ幻獣なんてそうそう止められないに違いない。これは名案なのでは!?
なぜ今まで気が付かなったのか!!
《いや。我はこの国から出られぬ》
「そうなの? 前は世界中を飛び回っているようなこと言ってなかった?」
《以前は自由だったからな。今は無理だ》
「途中でなにかあったの?」
それ以上なにを聞いてもバハムートは答えてくれなかった。
バハムートとは友人関係だけど、なんでも教えてくれるわけではない。話す気がないようなので話題を変えることにした。
「そういえば、なんだか魔力の質……なのかな、変わったわね」
《わかるか?》
「ええ。瞳の色も前はシルバーだったのに、いつの間にか青くなっているし、なにもしていなくても光ってるというか」
《最近はよい餌を喰っている》
「餌?」
《うむ、我の最高の食事は魔鉱石だ》
「へえ、そうだったの! じゃあ、今度お給金が出たら買ってきてあげる」
《楽しみにしている》