婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。

「イライザ、よく来てくれたね。よろしく頼むよ。では、判定試験について詳しく話そうか」

 フィル様に促されるまま、私が普段待機しているソファに腰を下ろした。いつものようにフィル様が私の隣にかけるとイライザ様は、大きな瞳がこぼれ落ちそうなほど見開いた。

「まあ、そういうことでしたのね」
「イライザならわかってくれるだろう?」
「ええ、もちろんですわ。それでは、わたくしから判定試験についてお話しいたしましょう」

 フィル様とイライザ様の、ふたりでわかり合っているみたいな空気が居心地悪くてなんとなく視線を下げた。あれだけ私を口説いてきていたのは、やっぱり気まぐれだったのだ。

「判定試験は、それぞれの審判(ジャッジ)が出す課題をクリアすることによって、合否が判断されます。合否を決めるのは三大公爵家から選出された審判(ジャッジ)のみとなります。その代わり、わたくしたちは公平な目で判断し、妃殿下となるに相応しいか私情を挟まず判断いたしますわ」
「公平かどうかはどのように判断されるのですか?」

 もしも最悪の場合、こっそり不合格のお願いしてみようと思い聞いてみた。

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