待ってる
15年後…

「ねぇー、ママ。」

「なーにー?」
私はそういって、無邪気に微笑んだ我が子こと、琴羽に問いかける。
「あのね、今日はね、これをね、かいたの。」

そういって、琴羽が渡してきたのは一枚の絵だった。

「あら、上手にかいたわね」
私がそういうと琴羽は屈折なく笑った。
そんな琴羽の頭を隣から伸びた大きな手がわしゃわしゃと撫でた。

「琴羽は、絵の才能があるなー。」
そういって君はあの頃の様に無邪気に笑った。

あの事故の日から三年後、君は目を覚ました。
私は、君が目を覚ましたときのことを今でも思い出すよ。

「ねぇ、亮。」
私は、琴羽を抱き締めて離さなくてなっている君に言った。

「ん?」
君は不思議そうな顔でこちらをみる。

「君のこと待っててよかった。」
私がそういうと、君は大きく目を見開いたあとに、目を細めていった。

「俺も、ちゃんとあのときの続き言えてよかった。」
そういったら、君は夢を語ったあのときのように無邪気に微笑んだ。


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