【辛口ホームドラマ】チャーミー(平成30年台風24号災害)
【永久失格】
次の日の午後3時過ぎのことであった。
ところ変わって、今治市宅間《しないたくま》にある溶剤会社の昭久《あきひさ》が使っている重役の個室にて…
デスクの上には、書面が大量に積まれていた。
社内会議で決まった議案…
営業の担当責任者が県外《よそ》に出張をするので、費用を出してください…
総務部長の一人息子《ドラむすこ》の挙式披露宴の費用を全額お願いします…
営業の○○くんの出産祝いの祝い金お願いします…
…………
昭久《あきひさ》は、ものすごく怒った表情で自分が捺《お》す欄に印鑑《はんこ》をついていた。
どいつもこいつもグダグダグダグダグダグダグダグダ言いやがって…
自由と権利ばかり主張することとアフターファイブの時はいっちょ前のくせに…
勤務態度は極力悪い…
うちの従業員たちは、なまくらばかりだ!!
昭久《あきひさ》は、ブツブツブツブツ言いながらデスクに積まれている大量の書面に印鑑《はんこ》をついた。
さて、その頃であった。
またところ変わって、宮下町《みやしたちょう》の豪邸《いえ》の大広間にて…
大広間のテーブルに、かおると八重《やえ》が座っていた。
ダイニングキッチンにいる志桜里《しおり》は、かおると八重《やえ》がいただくお茶を作っていた。
八重《やえ》は、かおるに対してもうしわけない声で言うた。
「先週の土曜日の夜、雄一郎が怒鳴り声をあげながら家の中で暴れたことについては、親御《おや》であるアタシが全部悪いのです…雄一郎《ちょうなん》に変わっておわびもうしあげます。」
かおるは、おだやかな声で八重《やえ》に言うた。
「先週のことはもういいのよ…それよりも、雄一郎さんと嫁さんがなんで健ちゃんの相手《おあいて》を変えろと強要《ようきゅう》したのかが気になるのよ…アレどう言うことなの?」
かおるの問いに対して、八重《やえ》はものすごくつらい表情で答えた。
「実は…雄一郎《ゆういちろう》と嫁は、真備《よめ》の実家からものすごくめんどいことを頼まれたのよ。」
「ものすごくめんどいことを頼まれたって?…頼んだ家は、どこの家のものかしら?」
「嫁の兄《おにい》が農大《だいがく》のサークルにいた時の先輩からよ…備中高松《びっちゅうたかまつ》(岡山市北区)の野々江《ののえ》の家の娘《テンシンランマン》をどーにかせえと頼まれたのよ。」
「その、野々江《ののえ》の家は、農大《だいがく》の先輩のどなたにあたるの?」
「どなたって…先輩さんのコネよ…先輩さんが岡山県内の私立高校のスイセン入試の時に、ガッコーに水仙(の花)を持ってお願いに行ったのよ。」
スイセン入試の『スイセン』の漢字がちがいますよ〜
それと、スイセン入試の意味がぜんぜん違いますよ~
……………
話は変わって…
かおるは、つらい表情で八重《やえ》に言うた。
「話かわるけど、問題の娘《テンシンランマン》はいくつよ?」
八重は、ものすごく言いにくい声でかおるに言うた。
「39歳と6ヶ月よ。」
「39歳と6ヶ月…娘《テンシンランマン》ちゃんは、ほんとうに独身なの?」
「独身ですけど…」
かおるは、ものすごくあきれた声で八重《やえ》に言うた。
「娘《テンシンランマン》ちゃんは危機感がまったくないみたいね…なんで29歳までに結婚しなかったのよ?」
八重《やえ》は、おたついた声でかおるに言うた。
「だから、娘《テンシンランマン》ちゃんはダラダラと婚期《こんき》を遅らせたわけじゃないのよ…今までの間に、野々江《いえ》の親類の不幸ごとがたくさんあったのよ…」
「(あきれた声で)不幸ごとがたくさんあったと言うけど…」
八重《やえ》は、ものすごくおたついた声でかおるに言うた。
「13年前にお見合いをして結婚する予定はあったのよ…だけど、挙式披露宴の3日前に祖父《おじいちゃん》が交通事故で亡くなったので延期になったのよ…その上に、お相手の男性の兄夫婦《おにいのかぞく》がヤミ金から逃れるために実家へ逃げ込んだのよ…それから13年の間にお見合いしたけど…相手方の家で不幸ごとが発生したから結婚取りやめになったのよ…おととしは、娘《テンシンランマン》ちゃんの姉夫婦《おねえのふうふ》があおり運転事件の容疑者《おとこ》に刃物で刺されて殺されたのよ…喪《も》が明けた時には…」
かおるは、ものすごくあきれた声で八重《やえ》に言うた。
「もういいわよ…話は分かったけど、雄一郎《ゆういちろう》さんとお嫁さんの強要《ようきゅう》はきっぱりと拒否してね!!」
「どうしてよ?」
「よくないわよ…不幸ごとがつづく家の娘は健ちゃんのお嫁さんにふさわしくないわよ…」
「だけど、野々江《せんぽう》は『娘をもらってくれ…』と…」
かおるは、なさけない声で言うている八重《やえ》に対して『落ちついてよ!!』と言うてからこう言うた。
「あのね!!この際だから言わせてもらうけど、野々江《せんぽうのいえ》の娘《テンシンランマン》ちゃんはやめた方がいいわよ!!」
「できたらそうしたいわよ…だけど。雄一郎《ゆういちろう》がにえきらない表情で…」
かおるは、ものすごく怒った声で八重《やえ》に言うた。
「どんな理由があってもダメ!!…野々江《せんぽう》の家の娘《テンシンランマン》は自分が置かれている状況がぜんぜん分かっていないのよ!!40歳で初婚は世間さまからなんと言われるのかが分からないよ!!…子どもが生まれた時に育児と介護を両方することになるのよ!!」
「分かってるわよ…うちも40過ぎで健ちゃんを出産したから…育児と義父《おとうさま》の介護を強いられた経験があるのよ…」
「分かってるのであれば、健ちゃんのお嫁さんは菜水《なみ》さんにしてよね!!」
「だけど…」
「ますますはぐいたらしいわね!!もういいわよ!!あなたたちが健ちゃんの結婚に消極的になっているから、うちらが全部だんどりを進めるから…」
かおるは、ものすごく怒った声で健一郎と菜水《なみ》の結婚準備を一方的に進めると言うた。
かおるからどぎつい声で言われた八重《やえ》は、イシュクした表情を浮かべていた。
ダイニングキッチンにいた志桜里《しおり》は、やる気をなくしたのでお茶をいれるのをやめたあとどこかへ行ったようだ。
時は、夕方6時過ぎのことであった。
またところ変わって、イオンモール今治新都市のさざなみコートのすぐ近くにあるスタバにて…
家出中のあつこは、中学時代のなかよしのコと一緒にドリップコーヒーをのみながらお話をしていた。
なかよしのコは、困った声であつこに言うた。
「あつこもいろいろとつらかったよね…それで、私立高校《メートク》には今も行ってないの?」
あつこは、ものすごくつらい声でなかよしのコに言うた。
「行ってないわよ…と言うよりも、私立高校《メートク》自体がイヤだから、退学《やめた》いのよ…」
なかよしのコは、あきれた声であつこに言うた。
「そうなることが分かっているのに、なんで制度を利用したのよ?」
あつこは、ものすごくつらい声でなかよしのコに言うた。
「あの時、他に方法がなかったのよ…(3年のときの)タンニンから『偏差値が極力悪いから、県立《コーリツ》はあきらめろ…』と頭ごなしに言われたのよ…その上に、おかーさんが『健ちゃんもスイセン受けるから一緒に行く?』と言うたから…しかたなくスイセンを受けたのよ…今ごろになってスイセンで私立高校《メートク》に行くんじゃなかった…と気がついたのよ…サイアクだわ~」
「困ったわね…」
あつこは、ぐすんぐすんと泣きながらなかよしのコに言うた。
「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…私立高校《メートク》へ行って大失敗した…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…おかーさんの言いなりになって神谷《いまのいえ》に来て大失敗した…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…こんなことになるのであれば…実父《ほんとうのおとーさん》のもとにいるのだった…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…昭久《しょぼいおとーさん》のなんかだーーーーーーいきらーーーーーーい!!…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」
この時であった。
スタバのすぐ近くにあるタオル美術館の前に昭久《あきひさ》が通りかかった。
あつこからツウレツな言葉を言われた昭久《あきひさ》は、ものすごく悲しい表情を浮かべながらあつこを見つめながらつぶやいた。
オレは父親失格だ…
オレは…
あつことてつやの父親失格だ…
オレなんか…
いない方がいいんだ…
その日の夜遅くだった。
(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)
山方町の方で家事が発生した。
火元は、雄一郎《ゆういちろう》の家であった。
雄一郎《ゆういちろう》は、房江《ふさえ》とひどい大ゲンカを起こした末に家に火をつけた。
房江《ふさえ》は、この時雄一郎《ゆういちろう》を出刃包丁で刺して殺した。
房江《ふさえ》とふたりの子どもたちは逃げ遅れたので亡くなった。
健一郎の結婚相手を変えてくれと言う話は、これで立ち消えとなった。
ところ変わって、今治市宅間《しないたくま》にある溶剤会社の昭久《あきひさ》が使っている重役の個室にて…
デスクの上には、書面が大量に積まれていた。
社内会議で決まった議案…
営業の担当責任者が県外《よそ》に出張をするので、費用を出してください…
総務部長の一人息子《ドラむすこ》の挙式披露宴の費用を全額お願いします…
営業の○○くんの出産祝いの祝い金お願いします…
…………
昭久《あきひさ》は、ものすごく怒った表情で自分が捺《お》す欄に印鑑《はんこ》をついていた。
どいつもこいつもグダグダグダグダグダグダグダグダ言いやがって…
自由と権利ばかり主張することとアフターファイブの時はいっちょ前のくせに…
勤務態度は極力悪い…
うちの従業員たちは、なまくらばかりだ!!
昭久《あきひさ》は、ブツブツブツブツ言いながらデスクに積まれている大量の書面に印鑑《はんこ》をついた。
さて、その頃であった。
またところ変わって、宮下町《みやしたちょう》の豪邸《いえ》の大広間にて…
大広間のテーブルに、かおると八重《やえ》が座っていた。
ダイニングキッチンにいる志桜里《しおり》は、かおると八重《やえ》がいただくお茶を作っていた。
八重《やえ》は、かおるに対してもうしわけない声で言うた。
「先週の土曜日の夜、雄一郎が怒鳴り声をあげながら家の中で暴れたことについては、親御《おや》であるアタシが全部悪いのです…雄一郎《ちょうなん》に変わっておわびもうしあげます。」
かおるは、おだやかな声で八重《やえ》に言うた。
「先週のことはもういいのよ…それよりも、雄一郎さんと嫁さんがなんで健ちゃんの相手《おあいて》を変えろと強要《ようきゅう》したのかが気になるのよ…アレどう言うことなの?」
かおるの問いに対して、八重《やえ》はものすごくつらい表情で答えた。
「実は…雄一郎《ゆういちろう》と嫁は、真備《よめ》の実家からものすごくめんどいことを頼まれたのよ。」
「ものすごくめんどいことを頼まれたって?…頼んだ家は、どこの家のものかしら?」
「嫁の兄《おにい》が農大《だいがく》のサークルにいた時の先輩からよ…備中高松《びっちゅうたかまつ》(岡山市北区)の野々江《ののえ》の家の娘《テンシンランマン》をどーにかせえと頼まれたのよ。」
「その、野々江《ののえ》の家は、農大《だいがく》の先輩のどなたにあたるの?」
「どなたって…先輩さんのコネよ…先輩さんが岡山県内の私立高校のスイセン入試の時に、ガッコーに水仙(の花)を持ってお願いに行ったのよ。」
スイセン入試の『スイセン』の漢字がちがいますよ〜
それと、スイセン入試の意味がぜんぜん違いますよ~
……………
話は変わって…
かおるは、つらい表情で八重《やえ》に言うた。
「話かわるけど、問題の娘《テンシンランマン》はいくつよ?」
八重は、ものすごく言いにくい声でかおるに言うた。
「39歳と6ヶ月よ。」
「39歳と6ヶ月…娘《テンシンランマン》ちゃんは、ほんとうに独身なの?」
「独身ですけど…」
かおるは、ものすごくあきれた声で八重《やえ》に言うた。
「娘《テンシンランマン》ちゃんは危機感がまったくないみたいね…なんで29歳までに結婚しなかったのよ?」
八重《やえ》は、おたついた声でかおるに言うた。
「だから、娘《テンシンランマン》ちゃんはダラダラと婚期《こんき》を遅らせたわけじゃないのよ…今までの間に、野々江《いえ》の親類の不幸ごとがたくさんあったのよ…」
「(あきれた声で)不幸ごとがたくさんあったと言うけど…」
八重《やえ》は、ものすごくおたついた声でかおるに言うた。
「13年前にお見合いをして結婚する予定はあったのよ…だけど、挙式披露宴の3日前に祖父《おじいちゃん》が交通事故で亡くなったので延期になったのよ…その上に、お相手の男性の兄夫婦《おにいのかぞく》がヤミ金から逃れるために実家へ逃げ込んだのよ…それから13年の間にお見合いしたけど…相手方の家で不幸ごとが発生したから結婚取りやめになったのよ…おととしは、娘《テンシンランマン》ちゃんの姉夫婦《おねえのふうふ》があおり運転事件の容疑者《おとこ》に刃物で刺されて殺されたのよ…喪《も》が明けた時には…」
かおるは、ものすごくあきれた声で八重《やえ》に言うた。
「もういいわよ…話は分かったけど、雄一郎《ゆういちろう》さんとお嫁さんの強要《ようきゅう》はきっぱりと拒否してね!!」
「どうしてよ?」
「よくないわよ…不幸ごとがつづく家の娘は健ちゃんのお嫁さんにふさわしくないわよ…」
「だけど、野々江《せんぽう》は『娘をもらってくれ…』と…」
かおるは、なさけない声で言うている八重《やえ》に対して『落ちついてよ!!』と言うてからこう言うた。
「あのね!!この際だから言わせてもらうけど、野々江《せんぽうのいえ》の娘《テンシンランマン》ちゃんはやめた方がいいわよ!!」
「できたらそうしたいわよ…だけど。雄一郎《ゆういちろう》がにえきらない表情で…」
かおるは、ものすごく怒った声で八重《やえ》に言うた。
「どんな理由があってもダメ!!…野々江《せんぽう》の家の娘《テンシンランマン》は自分が置かれている状況がぜんぜん分かっていないのよ!!40歳で初婚は世間さまからなんと言われるのかが分からないよ!!…子どもが生まれた時に育児と介護を両方することになるのよ!!」
「分かってるわよ…うちも40過ぎで健ちゃんを出産したから…育児と義父《おとうさま》の介護を強いられた経験があるのよ…」
「分かってるのであれば、健ちゃんのお嫁さんは菜水《なみ》さんにしてよね!!」
「だけど…」
「ますますはぐいたらしいわね!!もういいわよ!!あなたたちが健ちゃんの結婚に消極的になっているから、うちらが全部だんどりを進めるから…」
かおるは、ものすごく怒った声で健一郎と菜水《なみ》の結婚準備を一方的に進めると言うた。
かおるからどぎつい声で言われた八重《やえ》は、イシュクした表情を浮かべていた。
ダイニングキッチンにいた志桜里《しおり》は、やる気をなくしたのでお茶をいれるのをやめたあとどこかへ行ったようだ。
時は、夕方6時過ぎのことであった。
またところ変わって、イオンモール今治新都市のさざなみコートのすぐ近くにあるスタバにて…
家出中のあつこは、中学時代のなかよしのコと一緒にドリップコーヒーをのみながらお話をしていた。
なかよしのコは、困った声であつこに言うた。
「あつこもいろいろとつらかったよね…それで、私立高校《メートク》には今も行ってないの?」
あつこは、ものすごくつらい声でなかよしのコに言うた。
「行ってないわよ…と言うよりも、私立高校《メートク》自体がイヤだから、退学《やめた》いのよ…」
なかよしのコは、あきれた声であつこに言うた。
「そうなることが分かっているのに、なんで制度を利用したのよ?」
あつこは、ものすごくつらい声でなかよしのコに言うた。
「あの時、他に方法がなかったのよ…(3年のときの)タンニンから『偏差値が極力悪いから、県立《コーリツ》はあきらめろ…』と頭ごなしに言われたのよ…その上に、おかーさんが『健ちゃんもスイセン受けるから一緒に行く?』と言うたから…しかたなくスイセンを受けたのよ…今ごろになってスイセンで私立高校《メートク》に行くんじゃなかった…と気がついたのよ…サイアクだわ~」
「困ったわね…」
あつこは、ぐすんぐすんと泣きながらなかよしのコに言うた。
「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…私立高校《メートク》へ行って大失敗した…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…おかーさんの言いなりになって神谷《いまのいえ》に来て大失敗した…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…こんなことになるのであれば…実父《ほんとうのおとーさん》のもとにいるのだった…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…昭久《しょぼいおとーさん》のなんかだーーーーーーいきらーーーーーーい!!…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」
この時であった。
スタバのすぐ近くにあるタオル美術館の前に昭久《あきひさ》が通りかかった。
あつこからツウレツな言葉を言われた昭久《あきひさ》は、ものすごく悲しい表情を浮かべながらあつこを見つめながらつぶやいた。
オレは父親失格だ…
オレは…
あつことてつやの父親失格だ…
オレなんか…
いない方がいいんだ…
その日の夜遅くだった。
(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)
山方町の方で家事が発生した。
火元は、雄一郎《ゆういちろう》の家であった。
雄一郎《ゆういちろう》は、房江《ふさえ》とひどい大ゲンカを起こした末に家に火をつけた。
房江《ふさえ》は、この時雄一郎《ゆういちろう》を出刃包丁で刺して殺した。
房江《ふさえ》とふたりの子どもたちは逃げ遅れたので亡くなった。
健一郎の結婚相手を変えてくれと言う話は、これで立ち消えとなった。