虐げられた臆病令嬢は甘え上手な王弟殿下の求愛が信じられない
ここで諦めたら誰が祖国の呪いを解くというのだ。そう反論しようとしても、有無を言わさず私は保護というか拘束された。
逃亡を恐れてか甲冑に身を包んだ騎士に囲まれて、両手を縛り上げられる。これではまるで罪人、いや生贄じゃないか。どこが聖女だというのか。この国の聖女が人身御供となる存在を指すのであれば、間違いではないが。
「そもそもフィデス王国の復興を掲げていたのはクリフォード子爵の発案とお前は言うが、社交界で子爵がそのような発言や行動を一切見ていない」
「なっ……」
「お前を働かせる口実があれば何でも良かったのだろう。亡国の復興など誰も望んでいない」
(そんな……。私の三年間の全ては一体なんだったというの)
「きゅううううう!」
「フラン!?」
私の部屋から飛び出してきたのは、緋色のオコジョのフランだ。三年前に私と一緒にエルジア王国に入国した大切な友人。
最初の頃は病弱だったのが看病の末、今では元気いっぱいに屋敷内を飛び回るようになった。伯父の話では、フランはかなり上位精霊で人にも見えるらしい。フランは私の肩に乗り、枢機卿とクリストファ殿下に向けて毛を逆立てて威嚇する。
「フーッ!!」と、クリストファ殿下に敵意を向け襲い掛かる。
「ひっ!」
「殿下、お下がりください!」
枢機卿が手を翳し魔法障壁を展開。
突如フランの目の前に白い魔法障壁が生じ、フランの体は弾かれてしまう。
「きゅん!」
「フラン!」
フランが床に叩きつけられそうになるのを抱きとめようと駆け出したが、騎士たちに体を抑え込まれてしまい床に倒れ込む。「大人しくしろ」と、怒号が飛ぶ。
激痛が走り、うめき声が漏れた。
骨が軋む。力任せに床に叩き潰された際、足首を痛めたようだ。いや足だけではなくあちこちが痛い。熱い。息が苦しい。それでも床に転がるフランの元に這ってでも向かおうとした。それが気に入らなかったのか、クリストファ殿下は私の体を何度も踏みつける。
「第二王子である、私に、怪我を、させようとするのは、どういうつもりだ。答えろ、オリビア!」
「がっ、……ごほごほっ」
暴行を受けても誰も助けてはくれなかった。自分の身を護るため両腕で頭を庇い縮こまる。理不尽で身勝手な言動。意識が遠のきかけた時、枢機卿が声をかけた。
逃亡を恐れてか甲冑に身を包んだ騎士に囲まれて、両手を縛り上げられる。これではまるで罪人、いや生贄じゃないか。どこが聖女だというのか。この国の聖女が人身御供となる存在を指すのであれば、間違いではないが。
「そもそもフィデス王国の復興を掲げていたのはクリフォード子爵の発案とお前は言うが、社交界で子爵がそのような発言や行動を一切見ていない」
「なっ……」
「お前を働かせる口実があれば何でも良かったのだろう。亡国の復興など誰も望んでいない」
(そんな……。私の三年間の全ては一体なんだったというの)
「きゅううううう!」
「フラン!?」
私の部屋から飛び出してきたのは、緋色のオコジョのフランだ。三年前に私と一緒にエルジア王国に入国した大切な友人。
最初の頃は病弱だったのが看病の末、今では元気いっぱいに屋敷内を飛び回るようになった。伯父の話では、フランはかなり上位精霊で人にも見えるらしい。フランは私の肩に乗り、枢機卿とクリストファ殿下に向けて毛を逆立てて威嚇する。
「フーッ!!」と、クリストファ殿下に敵意を向け襲い掛かる。
「ひっ!」
「殿下、お下がりください!」
枢機卿が手を翳し魔法障壁を展開。
突如フランの目の前に白い魔法障壁が生じ、フランの体は弾かれてしまう。
「きゅん!」
「フラン!」
フランが床に叩きつけられそうになるのを抱きとめようと駆け出したが、騎士たちに体を抑え込まれてしまい床に倒れ込む。「大人しくしろ」と、怒号が飛ぶ。
激痛が走り、うめき声が漏れた。
骨が軋む。力任せに床に叩き潰された際、足首を痛めたようだ。いや足だけではなくあちこちが痛い。熱い。息が苦しい。それでも床に転がるフランの元に這ってでも向かおうとした。それが気に入らなかったのか、クリストファ殿下は私の体を何度も踏みつける。
「第二王子である、私に、怪我を、させようとするのは、どういうつもりだ。答えろ、オリビア!」
「がっ、……ごほごほっ」
暴行を受けても誰も助けてはくれなかった。自分の身を護るため両腕で頭を庇い縮こまる。理不尽で身勝手な言動。意識が遠のきかけた時、枢機卿が声をかけた。