クローバー
「それもそっか。でも…今年は知り合えた。もうただの他人同士じゃ無くなったよね?」

「ん。ま、まぁな。」

認めざるを得ないだろう。

俺は視線を天音から夕陽に移した。

「花火かぁ…。」

天音も夕陽を見つめている。

「去年見たときは親戚と一緒でさ、普段お酒を飲まない祖父ちゃんがその日は飲んでてさ。親戚のオジサンと肩組んで演歌を歌い出してさ。あの時は可笑しくて笑ったなぁ。」

「え!?それってまさか…。」天音は弾かれたように話す。「ねぇ待って。そこに女の人居なかった?同い年くらいの?」

何故そんな事を聞く?と思ったが、

「あぁ居たよ。名前…何ていったっけな?」

俺が思い出そうとしていると、天音が意を決したような口調で、

「今年はアタシと2人で見ない?」

そう言った。突然そんな事を言われても困る。

「見るったってまだまだ先の話しだろ?そんなの今決めなくたって…」

「まだまだ先だから今決めたいの!」

天音の気迫に圧されるように俺は「分かったよ。」と頷いてしまった。

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