麗しの王様は愛を込めて私を攫う
目が覚めたら豪華な部屋にいて、足には足枷が嵌めてあった。
その後、王様に呼ばれて現れた二人の侍女に、体を清められた。
まったく分からない、どうしてこんな事になっているんだろう。
何だか愉しげに微笑んで、私の髪を櫛で梳いている王様に尋ねた。
「私は何故、足枷をされているのでしょうか? 悪いことでもしましたか?」
「メアリーは僕の妻になるからね、少し覚えないといけない事があるんだ」
「……妻?」
リシウス陛下はおかしな事を話し出した。
「そうだよ、その為に僕は王になったんだから」
梳いた髪に指を通して、満足した様に微笑むリシウス陛下。
「綺麗だ。この柔らかい金の髪、いつもそっと撫でる事しか出来なかったから」
そう言って髪を一房もち、匂いを嗅いでいる。
「あの……いつも撫でるってどう言う事?」
「……どういうことかな?」
美しい作り笑いを浮かべて、リシウス陛下は、何かバツが悪くなったように「お腹空いているでしょ、何か持ってこさせるよ」と言うとスタスタと部屋を出て行った。
すぐに侍女が食事を運んでくれた。
たくさんのフルーツとパンとスープ、小さくカットされた野菜と美味しそうに焼かれたチキン、フルーツやハーブが入った贅沢なお水がテーブルに並べられる。
「どれから食べる?」
私はなぜかリシウス陛下に抱き抱えられ、椅子に座ることになった。
スプーンを片手に持ち、私に食べさせようとするリシウス陛下。
「自分で食べます」
「ダメだよ。メアリーは一口が少し多いからね、食べる量から教えてあげる」
そう言ってリシウス陛下はスプーンに少しだけスープをとり、私の口に運ぶ。
(一口が多いって? 私この人の前で食べた事ないのに?)
「メアリー、口を開けてくれない? 開けないと口移しで飲ませるよ? そっちがいいのかな」
自分で言っておいて一人で勝手に想像したのか、リシウス陛下はその白い肌を赤く染めた。
口移しなんて嫌。
私は口を開けてスプーンをパクリと咥えた。
それを見たリシウス陛下は「あっ」と小さな声を上げる。
「メアリー、スプーンを咥えてはいけないよ。仕方ないなぁ、じゃあもう一度……」
目を細めて私を見るリシウス陛下は、またスプーンにスープを掬って飲ませた。
それから私は、ちびちびと彼から食事を与えられた。
「明日は僕は朝議があるんだ。その間に仕立て屋を呼んでいるから。メアリーに似合うドレスと靴を用意させるからね。では、おやすみ」
食べた気のしない食事が終わると、リシウス陛下はようやく部屋を出て行った。
朝議がある? それって……明日はすぐには来ないって事?
もしかして今度こそ逃げられる?
その後、王様に呼ばれて現れた二人の侍女に、体を清められた。
まったく分からない、どうしてこんな事になっているんだろう。
何だか愉しげに微笑んで、私の髪を櫛で梳いている王様に尋ねた。
「私は何故、足枷をされているのでしょうか? 悪いことでもしましたか?」
「メアリーは僕の妻になるからね、少し覚えないといけない事があるんだ」
「……妻?」
リシウス陛下はおかしな事を話し出した。
「そうだよ、その為に僕は王になったんだから」
梳いた髪に指を通して、満足した様に微笑むリシウス陛下。
「綺麗だ。この柔らかい金の髪、いつもそっと撫でる事しか出来なかったから」
そう言って髪を一房もち、匂いを嗅いでいる。
「あの……いつも撫でるってどう言う事?」
「……どういうことかな?」
美しい作り笑いを浮かべて、リシウス陛下は、何かバツが悪くなったように「お腹空いているでしょ、何か持ってこさせるよ」と言うとスタスタと部屋を出て行った。
すぐに侍女が食事を運んでくれた。
たくさんのフルーツとパンとスープ、小さくカットされた野菜と美味しそうに焼かれたチキン、フルーツやハーブが入った贅沢なお水がテーブルに並べられる。
「どれから食べる?」
私はなぜかリシウス陛下に抱き抱えられ、椅子に座ることになった。
スプーンを片手に持ち、私に食べさせようとするリシウス陛下。
「自分で食べます」
「ダメだよ。メアリーは一口が少し多いからね、食べる量から教えてあげる」
そう言ってリシウス陛下はスプーンに少しだけスープをとり、私の口に運ぶ。
(一口が多いって? 私この人の前で食べた事ないのに?)
「メアリー、口を開けてくれない? 開けないと口移しで飲ませるよ? そっちがいいのかな」
自分で言っておいて一人で勝手に想像したのか、リシウス陛下はその白い肌を赤く染めた。
口移しなんて嫌。
私は口を開けてスプーンをパクリと咥えた。
それを見たリシウス陛下は「あっ」と小さな声を上げる。
「メアリー、スプーンを咥えてはいけないよ。仕方ないなぁ、じゃあもう一度……」
目を細めて私を見るリシウス陛下は、またスプーンにスープを掬って飲ませた。
それから私は、ちびちびと彼から食事を与えられた。
「明日は僕は朝議があるんだ。その間に仕立て屋を呼んでいるから。メアリーに似合うドレスと靴を用意させるからね。では、おやすみ」
食べた気のしない食事が終わると、リシウス陛下はようやく部屋を出て行った。
朝議がある? それって……明日はすぐには来ないって事?
もしかして今度こそ逃げられる?