麗しの王様は愛を込めて私を攫う
「断れないというのか? お前たちは無能なのか?」
凍りつくような王様の視線が、会議中の臣下に向けられている。
いや既に、半数の方は凍っておられるようだ。
固まったように動かれない。
「で、ですが既に他国から大勢の姫君が我が王様に一目お会いしたい、と申し出て来ております。リシウス陛下はまだ特定のお相手を公表しておりません。ですからどうか一目お会いするだけでも」
大臣が真っ青な顔をしながら王様に話す。
リシウス陛下は若く美しい王様で、その上まだお妃様が決まっていない。
その妃の座を、周りが放ってはいなかった。
臣下達は皆、リシウス陛下のお気持ちを知ってはいるが、有力者からの話を無下にする事も出来ず、こうやって頭を下げている。
「会ってどうする? 時間の無駄だ。この話をしている今も無駄だというのに」
「外交問題にも関わって参ります。どうぞ一度で宜しいのです。機会を作られて下さい」
外交官も頭を下げてリシウス陛下に頼んでいた。
「……何処の親も娘には甘いという事か」
諦めた様にリシウス陛下は声を落とされた。
主君は何だかんだと国の為ならば動いてくださる。
臣下達は胸を撫で下ろし「では、日程を……」と、王様の気が変わらぬ内に話しを進めて行く。
凍りつくような王様の視線が、会議中の臣下に向けられている。
いや既に、半数の方は凍っておられるようだ。
固まったように動かれない。
「で、ですが既に他国から大勢の姫君が我が王様に一目お会いしたい、と申し出て来ております。リシウス陛下はまだ特定のお相手を公表しておりません。ですからどうか一目お会いするだけでも」
大臣が真っ青な顔をしながら王様に話す。
リシウス陛下は若く美しい王様で、その上まだお妃様が決まっていない。
その妃の座を、周りが放ってはいなかった。
臣下達は皆、リシウス陛下のお気持ちを知ってはいるが、有力者からの話を無下にする事も出来ず、こうやって頭を下げている。
「会ってどうする? 時間の無駄だ。この話をしている今も無駄だというのに」
「外交問題にも関わって参ります。どうぞ一度で宜しいのです。機会を作られて下さい」
外交官も頭を下げてリシウス陛下に頼んでいた。
「……何処の親も娘には甘いという事か」
諦めた様にリシウス陛下は声を落とされた。
主君は何だかんだと国の為ならば動いてくださる。
臣下達は胸を撫で下ろし「では、日程を……」と、王様の気が変わらぬ内に話しを進めて行く。