1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
美容部員のお姉さんは完全に竜基さんに見惚れているのがわかる。
白シャツに濃紺のスラックスに茶系のジャケットを羽織っている姿はドラマから飛び出してきたイケメン俳優のようだ。
「亜由美に合うメイクを教えて欲しい、使用するものは全て購入します」
えっ!!
驚きを隠せない私をよそに竜基さんはその場から離れてルージュが陳列されているコーナーにいた。
ニッコリと微笑むお姉さんに勧められるまま椅子に座ると手際良くヘアクリップで髪を止めていった。
基礎化粧品は使っているが、私が化粧をしたところでブスのくせにと言われると思うとメイクをする勇気が無くリップをつけるくらいだった。
でも、本当はそれなりにメイクに興味があったし友人の京子からもメイクをしたら考え方が変わるかもと言われたがやっぱり昔のトラウマには勝てなかった。
それなのに
お姉さんの綺麗な指先から魔力的な何かが出ているんじゃないかと思うほど鏡に映る自分が変わっていくのがわかる。
一つ一つ使い方を説明してもらいながらメイクをしてもらっている間、ルージュを見ている竜基さんの姿が鏡に映り込んでいる。
誰かにプレゼントするんだろうか?
ルージュを見る真剣な眼差しに何となくもやっとする。
もやっと?
竜基さんとは10歳も違うし、そもそも私がかわいそうな人畜無害人間だから契約恋人にしてくれたんだから、余計な気持ちは持ってはいけない。
「だいたいわかりました?」
声をかけられて自分に喝を入れる。
今は余計な事を考えずに竜基さんに報いるため、そして自分のために吸収しないと。
「何となく」
「今はYouTubeでもメイク動画がありますからそれを参考にすると良いですよ」
「はい、メイクって凄いですね」
「そうですね。綺麗になるため、勝負のため色々な理由でメイクをすることがあると思いますが、楽しいと思ってしてくれるのはBA(ビューティアドバイザー)としては嬉しいです」
竜基さんが一本のルージュをお姉さんに手渡した。
それは透明感のある少しブラウン寄りのピンクのルージュで、表情が一気に華やいだように見えた。
「ルージュだけはご自分で選びたいとおっしゃってたんですよ。素敵な恋人ですね」
お姉さんが耳元で教えてくれた。
真剣な目で選んでくれていたのは私の為だったんだ。偽物の恋人だけど、本物の様に扱ってくれる事が凄く嬉しい。
白シャツに濃紺のスラックスに茶系のジャケットを羽織っている姿はドラマから飛び出してきたイケメン俳優のようだ。
「亜由美に合うメイクを教えて欲しい、使用するものは全て購入します」
えっ!!
驚きを隠せない私をよそに竜基さんはその場から離れてルージュが陳列されているコーナーにいた。
ニッコリと微笑むお姉さんに勧められるまま椅子に座ると手際良くヘアクリップで髪を止めていった。
基礎化粧品は使っているが、私が化粧をしたところでブスのくせにと言われると思うとメイクをする勇気が無くリップをつけるくらいだった。
でも、本当はそれなりにメイクに興味があったし友人の京子からもメイクをしたら考え方が変わるかもと言われたがやっぱり昔のトラウマには勝てなかった。
それなのに
お姉さんの綺麗な指先から魔力的な何かが出ているんじゃないかと思うほど鏡に映る自分が変わっていくのがわかる。
一つ一つ使い方を説明してもらいながらメイクをしてもらっている間、ルージュを見ている竜基さんの姿が鏡に映り込んでいる。
誰かにプレゼントするんだろうか?
ルージュを見る真剣な眼差しに何となくもやっとする。
もやっと?
竜基さんとは10歳も違うし、そもそも私がかわいそうな人畜無害人間だから契約恋人にしてくれたんだから、余計な気持ちは持ってはいけない。
「だいたいわかりました?」
声をかけられて自分に喝を入れる。
今は余計な事を考えずに竜基さんに報いるため、そして自分のために吸収しないと。
「何となく」
「今はYouTubeでもメイク動画がありますからそれを参考にすると良いですよ」
「はい、メイクって凄いですね」
「そうですね。綺麗になるため、勝負のため色々な理由でメイクをすることがあると思いますが、楽しいと思ってしてくれるのはBA(ビューティアドバイザー)としては嬉しいです」
竜基さんが一本のルージュをお姉さんに手渡した。
それは透明感のある少しブラウン寄りのピンクのルージュで、表情が一気に華やいだように見えた。
「ルージュだけはご自分で選びたいとおっしゃってたんですよ。素敵な恋人ですね」
お姉さんが耳元で教えてくれた。
真剣な目で選んでくれていたのは私の為だったんだ。偽物の恋人だけど、本物の様に扱ってくれる事が凄く嬉しい。