1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜

<魔法>

やっぱり気が重い。

服を選ぶときに店員さんにせっかくのスタイルを強調しないのは損だと言われてコーディネートしてくれたのがEカップの胸を強調しつついやらしくならない様にハイネックで谷間を見せず肩が出るデザインの薄いニットにハイウェストのAラインのスカートを合わせたけど、改めて見ると体の線がくっきりと出ている。

大丈夫だよね?

慣れるまでは普段は無理せずミディアムヒールを履いてスクールで履き替える為にハイヒールを紙袋に入れた。

憂鬱そうな私に気がついたのか竜基さんが私の両手をとった。

「今から亜由美に魔法を掛けるよ」

「魔法ですか?」

竜基さんはニッコリと微笑むと手を優しく握る。

「背筋を伸ばして、まっすぐ前を見て。亜由美は皆が振り返るほど美しく、嫌なことは嫌とはっきりと伝えることができる。この魔法は0時まで有効だ」

そいういうと私の手の甲にキスをした。

恥ずかしいけど、今ので勇気が出てきた。

「ありがとうございます。行ってきます」

さっきまでの憂鬱な気持ちがすっかり晴れて清々しい気持ちでマンションを出た。
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