1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
今私は背後から抱きしめようとした竜基さんを床に倒した所だ。

「護身術は一朝一夕で出来るものでは無いが、知らないより知ってる方がいいという程度、相手に隙があるなら急所を蹴り上げるのが1番だ。あとは、相手がスニーカーならヒールで思いっきり踏みつけるといい、相手の足がどうなろうとそう言う状況を作った奴が悪い。でも、1番いい方法はブザーを鳴らして催涙スプレーをかけてダッシュ。これが1番だ」

そう言って、帰る途中で24時間営業の激安ショップに寄り防犯用の催涙スプレーとブザーを購入し、竜基さんに護身術を教わっているところだ。

うまく倒したところで自分もバランスを崩して竜基さんの上に倒れ込んでしまった。

む・・胸板、凄い。

寝る時も離れているから気がつかなかったけど、鍛えられた厚い胸板に今更ながら竜基さんは男なんだと気付かされた。

いや、男なんだけど、どうしよう急にはずかしくなった、心臓が口から出てきそう。

意識してるのバレちゃう。

どうしよう、何か言わなきゃ

「ふっ」

頭の上から笑いを含んだ吐息が聞こえる。

「やっぱり護身術は実際は使わない方がいいな。こんなサービスがついてきたら理性が吹き飛びそうだ」

そう言うと抱きしめられた。

竜基さんの腕の中はとても気持ちがいいけど心臓の振動が伝わってしまいそうで立ちあがろう思ったが髪を撫でられて力が抜けてしまった。

「緊張してる?少しスキンシップも必要かな」

脈が速くなっていることがバレてる。

恥ずかしさで顔を上げることができず胸に顔を埋めたまま「はい」と答えるとぎゅっと締め上げるじゃなくて抱きしめられた。

「1日に一度はハグタイムを作ろう」

そうして私のスケジュールは大学から始まりウォーキング、マナーそして護身術に加えてハグタイムが加算された。
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