1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
昨夜のことを思い出すと恥ずかしくて朝も何を話したのかも思い出せない。

そして、講義を受けている間も心ここに在らずでぼんやりしながら教室を移動していると呼び止められて振り向くと佐藤隆が立っていた。

「何ですか?」

「ちょっと話があるんだけど」

「私は無いです」

「そんなに警戒すんなよ。確かに悪かったと思ってるし、色々とやり直したいっていうか。話だけでも聞いてよ」

「じゃあどうぞ」

掌を上にして今話てというジェスチャーをする。

「いや、カフェかどっか行かね?」

「だったら、聞きません」

佐藤隆は両手を上げ降参のポーズをとると空き教室を指さした。

「じゃあせめてそこで座らね?」

「ドアを開けてくれるなら」

「OK」と言うと佐藤隆が先に教室に入り私はドアを開けっぱなしにしてから佐藤隆が横向きに席に座っている通路を挟んだ向かいにドアを確認できるように座った。

前の私だったらこんな風に警戒とかしなかった。
自分の中で色々と変わっていることに気がつく。
こういうのも竜基さんのおかげだよね。

「単刀直入に言うけど、今までの俺の態度に関して謝るから、そしてその上で俺と付き合って欲しい」

「は?」何言ってんのコイツ?

「慎一の為に変えたわけじゃないんだよな??」

「へ?そんな訳あるわけないでしょ。それに付き合ってとかって昨日の人は?」

「ああ、アレは単なる友達」

「女友達とも肩を抱きながら歩くんですか?そういう人は私はちょっと。それに井口さんと付き合ってますよね?」

「あーアレ。付き合ってねーよ、彼女にするのにビッチとかありえねぇし。ヤラしてくれるから一緒にいただけで、あんたと付き合うならヤリ友は全部切ってもいいよ」

ふと空きっぱなしのドアの方を見ると一瞬だれかと目が合った。多分、井口乃乃だ。

「私、恋人がいるし、そもそも何人もそんな人がいる人とか無理」

席を立つと佐藤隆も慌てて立ち上がり腕を掴まれたが、このシチュエーションは竜基さんと何度も練習した。

掌を広げてから一歩踏み込むと佐藤隆の腕を押すとよろけた拍子に手を離した。

あとは、一目散に走るだけ!

ヒールにも慣れてきたのと、私が反撃するとは思わなかった為の不意打ちだったからうまく行った。


アドレナリンが大量に出ていたからか、竜基さんの匂いがする家に戻ると一気に体から力が抜けた。
ずっと緊張が続いていたようで居酒屋でも今日は何をしていたか思い出せないほどだ。

竜基さんはまだ帰っていない、本来はこれが普通なのかも知れない。
シャワーも足に力が入らず立っていられなくて座ったまま浴びてからベッドに潜り込んでスマホを見ていると竜基さんが帰ってきた。

「ただいま」と言うと唇を重ねてきた時ふわりと香水の香りがした。
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