1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
目の前にあるのはシャンパングラスに入った赤いカクテル。

「ストロベリーロワイヤルです」

口に含むと甘く口当たりのいいカクテルだ。

「おいしい」

「目標に向かってがんばるという意味もあります。亜由美様の目標はほぼ達成されましたが、もう一つはこれからです。これは私からのプレゼントです」

竜基さんはアンソルスレールでは、様付けで私を呼ぶ。やっぱりちょっと照れるけどこの呼び方も気に入っている。

「そう言えば、志摩さんってここにはもう来ないんですか?」

「おふくろに話をしたら志摩の母親が怒って、熊本の祖父の家に送り込んだそうだ。ただパーティには参加するそうだから念のために気をつけてほしい」

「なるほど分かりました」

「今夜は安心して閉店まで楽しんで」

「はい」と言ってカクテルを楽しんでいると、知らない男性に声をかけられたが、竜基さんに恋人だと言ってもらえたので、私もしっかりと「恋人を待っているので」と、断ることができた。

閉店後に「お待たせ、俺の恋人」と言ってカウンター席で深いキスをする。

こんなことされたら、アンソルスレールに来るたびにこの日のことを思い出してしまいそう。
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