1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
日本庭園が美しい日本料理店の一室。
「あら、可愛らしい。お付き合いしてる人がいるならいると早く言ってくれればよかったのに」
事前に竜基さんに聞いていたご両親のプロフィールではお母様が55歳でお父様である会長は67歳で一回りの歳の差があり、さらに二人は長友商会の営業事務をしていたお母様とその当時専務だったお父様との社内恋愛結婚だったらしい。
そして、そのお母様はとても55歳には見えない若々しくて綺麗な方だ。
「おふくろに言うと、写真だの動画だの送れってうるさいだろ」
「そりゃあひとり息子の彼女って気になるでしょ。ねぇ、あなた」
「ああ」
「もう、本当はソワソワしていたくせに」
「いや」
対照的なご夫婦で会長は口数が少なく反面お母様はめちゃくちゃ明るい。
きっとそんなところを会長は好きなんだろうな、二人でフランスに住んでいてそこからお酒の輸入をしているとのことだから本当に仲の良い夫婦なんだろう。竜基さんの話によると輸入の為というのも二人でのんびりしたい口実だと言っていた。いつか馴れ初めとか聞いてみたい。
「そろそろ紹介していいか」
「もちろんよ」と答えるとお母様は満面の笑みで私を見つめている。
何かを期待していそうな表情で見つめられて緊張して来た。
「松下亜由美です。大学2年生です」
「あら、若いのね」
どこかに勤めてるって言った方がよかった?
失敗した?
脳内は大嵐だ。
「だから直ぐに結婚と言う話は無いよ、亜由美の可能性を潰すつもりはないから最低でも卒業までの2年間は見守ってほしい」
嫌な汗が出そうになった所で竜基さんがフォローを入れてくれた、私が学生だというのは
契約を解除してしてもしばらくは結婚への猶予を持たせるための口実になって都合が良かったと言うことだろうか。
ここでおもむろに会長が口を開いた。
「専攻は何かね?」
「経済です」
「ほう」と言ったきりお父様は何も言わなくなった。
料理が運ばれて来て上品に美しく盛り付けられた食事を堪能していく。箸の持ち方も矯正したため手元はきっと美しく見えているはずだ。
・・・見えていると思う。
ワインの話から今度二人でフランスにおいでとお誘いを受け「是非」と言って竜基さんと微笑みながら返事をしたけど、多分それは叶わない。その後は他愛のない会話をしながら無事に会食は終了した。
ご両親をタクシーに乗せて見送ると一気に体の力が抜けた。
「ご苦労様、完璧だったよ」
「緊張した。私は絶対に詐欺師にはなれないと思う」
「それなら にしよう」
「え?何か言った?」
「いや、早く帰って休もう」
そう言って腰を支えられるようにタクシーに乗り込むとそのままブラックアウトした。
「あら、可愛らしい。お付き合いしてる人がいるならいると早く言ってくれればよかったのに」
事前に竜基さんに聞いていたご両親のプロフィールではお母様が55歳でお父様である会長は67歳で一回りの歳の差があり、さらに二人は長友商会の営業事務をしていたお母様とその当時専務だったお父様との社内恋愛結婚だったらしい。
そして、そのお母様はとても55歳には見えない若々しくて綺麗な方だ。
「おふくろに言うと、写真だの動画だの送れってうるさいだろ」
「そりゃあひとり息子の彼女って気になるでしょ。ねぇ、あなた」
「ああ」
「もう、本当はソワソワしていたくせに」
「いや」
対照的なご夫婦で会長は口数が少なく反面お母様はめちゃくちゃ明るい。
きっとそんなところを会長は好きなんだろうな、二人でフランスに住んでいてそこからお酒の輸入をしているとのことだから本当に仲の良い夫婦なんだろう。竜基さんの話によると輸入の為というのも二人でのんびりしたい口実だと言っていた。いつか馴れ初めとか聞いてみたい。
「そろそろ紹介していいか」
「もちろんよ」と答えるとお母様は満面の笑みで私を見つめている。
何かを期待していそうな表情で見つめられて緊張して来た。
「松下亜由美です。大学2年生です」
「あら、若いのね」
どこかに勤めてるって言った方がよかった?
失敗した?
脳内は大嵐だ。
「だから直ぐに結婚と言う話は無いよ、亜由美の可能性を潰すつもりはないから最低でも卒業までの2年間は見守ってほしい」
嫌な汗が出そうになった所で竜基さんがフォローを入れてくれた、私が学生だというのは
契約を解除してしてもしばらくは結婚への猶予を持たせるための口実になって都合が良かったと言うことだろうか。
ここでおもむろに会長が口を開いた。
「専攻は何かね?」
「経済です」
「ほう」と言ったきりお父様は何も言わなくなった。
料理が運ばれて来て上品に美しく盛り付けられた食事を堪能していく。箸の持ち方も矯正したため手元はきっと美しく見えているはずだ。
・・・見えていると思う。
ワインの話から今度二人でフランスにおいでとお誘いを受け「是非」と言って竜基さんと微笑みながら返事をしたけど、多分それは叶わない。その後は他愛のない会話をしながら無事に会食は終了した。
ご両親をタクシーに乗せて見送ると一気に体の力が抜けた。
「ご苦労様、完璧だったよ」
「緊張した。私は絶対に詐欺師にはなれないと思う」
「それなら にしよう」
「え?何か言った?」
「いや、早く帰って休もう」
そう言って腰を支えられるようにタクシーに乗り込むとそのままブラックアウトした。