1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
竜基さんはあの人を待っていたんだ。

さっきは美味しそうだと思った料理もすっかり色褪せてしまった。
かといって皿にのせたものを捨てるのは心苦しくて味はわからないが口に運んでいると、知らない男性が声をかけてきた。

グイグイとくるタイプで辟易していると竜基さんが来てくれてその場から連れ出してくれた。

「心細い思いをさせてごめんな。もう少し挨拶があるから、もう少し待っていて」

そう言うと竜基さんはご両親のところに行くと亜由美を守ってくれと言ってから、自分はまた戻って行った。

「あらあら、竜基は随分と大切にしているのね。というか、あの子もやっと大切な人をみつけたのね」

私は単なる仮だけど

「竜基さんにはいつも優しくしていただいてます」

と当たり障りなく答えたところで

「おばさまからも竜基に言ってください」とまたもや空気を読まず志摩がやってきた。

「竜基は亜由美さんに夢中だから、志摩ちゃんはもっと素敵な人と結婚してね」

お母様の言葉が衝撃だったのか、志摩さんは一瞬目を見開いた。

「おばさまも竜基との結婚に乗り気だったじゃないですか」

「ごめんなさいね、竜基の気持ちを確かめる事なく私と志摩ちゃんのお母様と二人で勝手に進めてしまったから志摩ちゃんにも迷惑かけてしまってごめんなさいね」

志摩はようやくお母様の隣に私がいることに気がつき、さらにお母様からの言葉に唇を噛みながら離れていった。

「昔からちょっぴりわがままな子だったけど、大人になって変わったかしらって思ったんだけどね、久しぶりに会ってみたら成長しないままだったのね。それから亜由美さんに謝らないといけないと思っていたの」

「え?」

「竜基本人の知らない所でお見合いとか勧めようとしていた事。何だか焦ってしまったのよね。ごめんなさいね」

「いいえ」
お母様は私が本当の恋人だと思っている、でもこれは・・・
心の中で「ごめんなさい」と呟いた。
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