1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
竜基side
実際はすでに社長としての業務をこなしていたが、代替わりをしたことと丁度50周年になるということでパーティを開く事になった。
付き合いのある取引会社へ招待状を送ったが、ベルウッドもその一つだった。
ベルウッドの社長令嬢である鈴木佳子とは大学では同窓になる。
大学時代は仲間の一人という感情しかなく、たまたま飲食業界のパーティで再会して何度か会ううちに付き合う事になった。
アンソルスレールの開店準備もあったことと、20代の俺は結婚というものに興味がなく、同い年の佳子は焦りを感じていたのかもしれない。
だから、彼女が“政略”結婚をするという嘘をそのまま受け入れて別れたのが2年前だった。
実際は1年くらいは俺と3店舗の高級料亭を経営する男性と同時に付き合っていたから、他の男の所有印のついた彼女を抱く気になれず彼女が“政略”結婚のために別れてほしいと別れ話を出されるまでの1年は彼女に触れることは無かったから実質恋人だったのは1年だ。
二股をかけられていたその1年は逆に仕事に打ち込むことができた。
その彼女から招待状を送った数日後に電話がきた、連絡をすることが無かったからアドレスはそのまま登録したままだった。
『久しぶり、社長に就任するのね』
「ああ、この数年はおやじとおふくろは海外に住んでいるからいまさらなんだが」
『私ね、離婚したの』
だからなんだと言う思いしかない
「そうか、悪いが通話を切らせてもらう」
ボタンに指がかかるところで
『待って、話がしたいの。長友商店にもいい話だと思う』
「明日の8時から少しの時間なら」
『ありがとう、いつものラウンジでいい?』
「構わないよ」
通話を切ってため息をつく。
本来、あの招待状はベルウッドの会社宛で彼女に会う必要性は全くないのだが、彼女から長友商店にとっていい話という言葉を聞くのは、家業に対して関心を持たなかった彼女としては意外な言葉だったから実に違和感があって興味が湧いた。
彼女は仕事に理解が無かったというか、1番に自分を優先してくれる恋人が必要だった。
普通に考えて、デートにしてもプレゼントにしてもそのための元は“仕事”だ。
お金を稼がなければその費用はどこから出るのかそういう理解をしなかった。
長友商店は大きな会社ではないが小さいわけじゃない、新しい事業を考えていかなければ淘汰されてしまう。
そのことを理解して一緒にできなくても構わないが見ていて欲しかった。
挙句、彼女はいつでも会ってくれる男性を選んだ。
大きな一枚ガラスの向こうにあるホテル自慢の庭をコーヒーを飲みながら眺める。
深く沈み込むソファーに体を預けてスマホに入ってくるメッセージに目を通す。
彼女と付き合っていた頃、このラウンジでコーヒーを飲みながら彼女が来るのを待って、二人で部屋に向かった。
彼女は決まって約束の時間の5分遅れで来た。
実際はすでに社長としての業務をこなしていたが、代替わりをしたことと丁度50周年になるということでパーティを開く事になった。
付き合いのある取引会社へ招待状を送ったが、ベルウッドもその一つだった。
ベルウッドの社長令嬢である鈴木佳子とは大学では同窓になる。
大学時代は仲間の一人という感情しかなく、たまたま飲食業界のパーティで再会して何度か会ううちに付き合う事になった。
アンソルスレールの開店準備もあったことと、20代の俺は結婚というものに興味がなく、同い年の佳子は焦りを感じていたのかもしれない。
だから、彼女が“政略”結婚をするという嘘をそのまま受け入れて別れたのが2年前だった。
実際は1年くらいは俺と3店舗の高級料亭を経営する男性と同時に付き合っていたから、他の男の所有印のついた彼女を抱く気になれず彼女が“政略”結婚のために別れてほしいと別れ話を出されるまでの1年は彼女に触れることは無かったから実質恋人だったのは1年だ。
二股をかけられていたその1年は逆に仕事に打ち込むことができた。
その彼女から招待状を送った数日後に電話がきた、連絡をすることが無かったからアドレスはそのまま登録したままだった。
『久しぶり、社長に就任するのね』
「ああ、この数年はおやじとおふくろは海外に住んでいるからいまさらなんだが」
『私ね、離婚したの』
だからなんだと言う思いしかない
「そうか、悪いが通話を切らせてもらう」
ボタンに指がかかるところで
『待って、話がしたいの。長友商店にもいい話だと思う』
「明日の8時から少しの時間なら」
『ありがとう、いつものラウンジでいい?』
「構わないよ」
通話を切ってため息をつく。
本来、あの招待状はベルウッドの会社宛で彼女に会う必要性は全くないのだが、彼女から長友商店にとっていい話という言葉を聞くのは、家業に対して関心を持たなかった彼女としては意外な言葉だったから実に違和感があって興味が湧いた。
彼女は仕事に理解が無かったというか、1番に自分を優先してくれる恋人が必要だった。
普通に考えて、デートにしてもプレゼントにしてもそのための元は“仕事”だ。
お金を稼がなければその費用はどこから出るのかそういう理解をしなかった。
長友商店は大きな会社ではないが小さいわけじゃない、新しい事業を考えていかなければ淘汰されてしまう。
そのことを理解して一緒にできなくても構わないが見ていて欲しかった。
挙句、彼女はいつでも会ってくれる男性を選んだ。
大きな一枚ガラスの向こうにあるホテル自慢の庭をコーヒーを飲みながら眺める。
深く沈み込むソファーに体を預けてスマホに入ってくるメッセージに目を通す。
彼女と付き合っていた頃、このラウンジでコーヒーを飲みながら彼女が来るのを待って、二人で部屋に向かった。
彼女は決まって約束の時間の5分遅れで来た。