1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
竜基side3

「暗証番号が変わったのね」

面倒でずっと俺の誕生日を設定していた。亜由美の誕生日の番号に変更しておいてよかった。

「どういったご用件で?」

「そんな言い方しないで、もう一度話をしたいの」

「俺たちに共通の話題なんてないだろ」

関わるつもりがないから電話もブロックしてしまった。まさか、マンションにまで来るとは思わなかった。

「ねえ、少しでいいの部屋に行っていい?」

話を聞く義理はないがこのまま居座られても迷惑だ。

「君を部屋に入れるつもりはない、下で話を聞く」

「あ
話の途中で通信を切った。


過去には確かに愛していたことがあった。
しかし、今も、この先も彼女を愛することはないだろう。

外に出ようとしたが、先に彼女がエントランスに入ってきた。
「私には竜基しかいないの」

「君が他の男に抱かれたあとに俺の部屋に泊まりにきた時から俺には君が何か未知の生物に見えていたよ。そして俺には必要の無い人になっていた」

血の気が引くというのはこういうことなんだろう、見る見るうちに青ざめていった。
俺が気がつないとでも思ったのか?

「違うのあれは政略結婚で、仕方がなかったの」

「いいや、違うよね」

「ごめんなさい、あの頃は寂しくて。でも、夫に浮気されてそれで後悔したの。愛しているのはあなただけだって、だからお願い」

あまりにも都合のいいことばかり話す彼女に呆れた一瞬の隙に抱きつかれてしまった。
はっきりいうと何も感じないが、うかつだった。
彼女を引き離そうとした時、エントランスのドアが開き亜由美の姿が目に入った。

「あまりしつこいと警察に通報する」
それだけ言い放ち亜由美を追いかけるが、側溝の溝に靴がはまっていた。
見覚えのあるそれは亜由美の靴だろう、溝から引き抜くと上着のポケットに入れて亜由美を追いかけた。





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