1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
声のする方を見ると竜基さんが立っていた。

竜基さんは志摩さんの前に立つと
「お客さま大変失礼いたしました。作り直しいたしますしもちろんお代は結構でございます」
そう言って一礼すると、さりげなく耳元付近で何かを言うと志摩さんは急に顔を硬らせた。

「ごめんなさい、私の勘違いかも」
志摩は慌てたようにバッグを持つと席を立った。
竜基さんはチーフに見送りをするように伝えるとチーフは慌てて志摩後を追った。

って、

ナニコレ?


竜基さんはさらに、「大変ご迷惑をおかけしました、この後もどうぞお楽しみください」と周りに言ってから私にはテーブルを片付けるように言った。

ドユコト?

何でチーフが竜基さんの指示を?

疑問はたくさんあるけどまずは目の前のテーブルの片付けをすることにした。

厨房に戻ってくると志摩を見送ったチーフも戻ってきて衝撃の一言を放つ。

「社長、ありがとうございました」

社長おおおおお?

何が何だか分からず立ち尽くしていると店長に「亜由美ちゃん休憩していいよ」と言われたがこんな事でいちいち休憩する訳にいかずホールへ出ようした時

「亜由美ちゃん?チーフはスタッフをそんな風に呼んでいるんですか?以前は松下さんと呼んでましたよね?」

「え?いえ、その、少しでも親しみやすく」

確かに、前はめんどくさそうに松下さんと呼んでいた。てか、なんでそんなことを竜基さんが知っているんだろう?とも思ったがそれ以前に、そんな事をツッコんでいる事も気になり、ふと見ると洗い物が溜まっていたのでそおっと洗い場に行った。

「亜由美、仕事が終わったら一緒に帰ろう」

竜基さんの爆弾発言でスタッフとそしてとりわけチーフの視線が驚きの色を湛えていた。

だよねー
というか以前言っていたお酒を扱う店って憩屋の事だったんだ。

「それからチーフ、聞きたいことがありますので事務室へ来てください」
そ言ういうと、竜基さんは私に向かって手を軽く挙げてから出て行き、チーフは竜基さんと私を交互に見ながらついていった。

この状態で放置って
すっごい周りが何かを聞きたそうな雰囲気が漂っていたけど、沈黙を貫いた。
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