1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
先に席についていた京子に今あったことを話すと竜基さんに早く報告したほうがいいと言われ、仕事中だと思うからLINEでのメッセージで乃乃が現れたことを報告した。

そして、目の前に座っている京子の隣に当たり前のように佐藤隆が座っている姿にちょっとイラッとした。

「そもそも、へんなゲームをしていたのは佐藤くんも一緒だったよね、それに、乃乃と付き合ってないのに、アレをしてたってことでしょ。最低」

「ほんと、ゲスいよね」
京子がそう言うと

「据え膳食わねばって言葉あるじゃん」

しれっとそんなのことを言う佐藤隆に
「「なんか違う」」
京子とハモってしまった。

日替わりランチを注文すると佐藤隆はランチのサービススープを取りに行った。

「何で佐藤隆と?」

「恋人とかはありえないけど友人の一人なら面白いし、何気に人脈もあるしね」

さすが京子だ。私なら友人だとしても付き合おうとは思わなかったかも。
バッグの中でバイブ音がして慌てて確認すると竜基さんからの電話だった。

「出なよ、嫌じゃなければこのまま話してもいいよ」

ありがとうと言って通話ボタンをタップした。


『大丈夫か?』

「うん、友達(ゲス男の佐藤隆とは言えない)もいたし催涙スプレーをかけて逃げたから。それに今は京子とも合流したから」

『弁護士に連絡して井口さんのご両親と話をつけるから、授業を休んでと言っても聞かないだろうから京子さんとその友人とは離れないように、バイトは休んで俺から言っておくから』

「わかった」
そう答えて通話を切った。乃乃のせいで自分の生活リズムを狂わされるのは嫌だけど、鋏を持った乃乃の危険な表情を見たらやっぱり怖いという気持ちもある。

「何だって?」

「弁護士を通して乃乃の両親と話をするって」

目の前にはスープとグラスに入った水が置かれていた。
佐藤隆はオレ様のように見えて結構マメなのかもしれないって、チャラ男だから!騙されちゃいけない!
しかもずっとつるんでいた乃乃の話をしているのに涼しい顔でスープを飲んでいる佐藤隆のことが信じられない。

「乃乃のこと心配じゃないの?」

「どうして?」

「どうしてって、ずっと一緒にしたし、体の関係とかもあったんでしょ。恋人という気持ちはなかったとしても」

京子はなぜか黙ってスマホを見ている。

「乃乃は俺が慎一的な立ち位置だったら近づいてこなかったし、自分の思通りにするためならいくらでも体を使うヤツだよ。だから、亜由美ちゃんの時だってあいつらに金と体を差し出そうとしてたんじゃん。ギブ&テイクに情なんていらない」

さらっと私のことを“ちゃん”付けしてるし。
というか
それって

さみ

「寂しいとか言うなよ。別に俺は今まではそれでも構わないと思っていたんだから」

なんだか釈然としないけど、言葉が見つからない。

気まずい雰囲気でいると料理が運ばれてきた。

ずっとスマホを見ていた京子が
「乃乃、警察に連れて行かれたみたい」
そう言ってスマホの画面を見せてくれた。

警備員に取り押さえられて警察を呼ばれたようだ。


「あいつが勝手に自滅しただけ」


佐藤隆の言葉を聞いて納得はしてないけど、何を言っていいのかわからなくて黙々と日替わりランチのチーズハンバーグを食べた。
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