1monthCinderella〜契約彼氏は魔法使い〜
<シンデレラは王子様と幸せに暮らしました>
3年後
「おめでとう」
京子と佐藤隆が美しい胡蝶蘭を抱えて現れた。
「送ろうかとも思ったけど荷物を持ってくれる人がいたから持ってきちゃった」
そう言って佐藤隆をみると彼は嬉しそうに胡蝶蘭を抱えてニコニコしている。その姿はさしずめ飼い主が大好きで仕方がない大型犬が尻尾をパタパタとしているように見える。
あれほど女にだらしのなかった彼が京子に付き纏い、もとい猛アタックの末、大学卒業と共に付き合い始めて1年になる。
京子は佐藤隆の両親にいたく気に入られてって当たり前よ!私の唯一無二の親友なんだから!
そんなことはいいとして、今はとてもラブラブな二人になっている。
仮の恋人だった時、竜基さんが日本酒専門のBARを作りたいと言っていた通り、あれからも時間ができた時は二人で旅行やドライブをしながら地酒と日本酒に合うグラスやぐい呑みを探していた。
そして私の夢もあの頃、週に一度のアンソルスレールが楽しみだった様に、頑張っている自分へのご褒美であり、一人でも落ち着ける空間を作りたいという気持ちで長友商店に入社して外食部門で「SAKE BAR 月華」の企画を担当してようやく完成した。
今日はそのプレオープンとして京子と佐藤隆が来てくれたのだ。
「落ち着いていて素敵なお店ね」
カクテルバーのような女性一人でも入りやすい雰囲気を作りたかった。
「ありがとう、ここは私の理想がたくさん詰まっている場所だから」
「確かに、あの頃のジミクラちゃんからは想像できないな」
「何言ってんのよ、ジミクラとか思ってたのはあんた達乃乃メンでしょ」
「うわーひでぇ、過去をえぐってくる」
あの時のことで、乃乃メン達は分裂して上野慎一とも連絡をすることがないらしい、そもそも佐藤隆は社交的だから歪な関係性で繋がっていた人たちと離れてもなんともないのだそうだ。
二人を座席に案内すると地酒の酒造メーカーの人や、グラス工房の方など二人で訪れて知り合った方たちも来てくれて最後は竜基さんが私の両親を連れて来てくれた。
「随分とおしゃれなお店ね」
「うん、すこしカジュアル気味にして若い女性にも来てもらえるようにしたの」
「長友さんが挨拶にいらした時は本当のことを言うと凄く不安だったのよ、でも今は大学もちゃんと卒業して社会にも出てくれたことはとても嬉しいわ」
お父さんは相変わらず無言で頷いている。
「なんだかんだ言っても長友商店への入社だからコネだと言われても仕方がないんだけど、だからこそ誰にもそんなふうに言われないように頑張ろうと思う」
「親父の代で固めた地盤で俺はもっとこの会社を発展させていきたい。コネも立派な実力だし俺が作りたいと思っていたこの店を亜由美が引き継いで実現化させてくれた、これからも期待してる」
そう言って私を見つめる竜基さんにドキドキしてしまう。3年も一緒に暮らしていてもやっぱりオトナの色気には勝てそうにない。
両親を席に案内したところで橘マネージャーが店内をぐるっと見回して「そろそろ開始しましょう、お客様にグラスを渡して」とスタッフに声を掛けた。
橘先輩は長友商店に入社すべく居酒屋“憩屋”でアルバイトをしていたんだとか、そして長友商店の面接の時に志望理由で会社の将来性とその為には現場でのセクハラやパラハラの撲滅が必要だと言う話をして竜基さんが個別に話を聞いたことで、あの憩屋への志摩襲撃事件の日につながったのだそうだ。
橘先輩のおかげでやりたい放題だったチーフの解雇が実現して、店内はとても働きやすくなった。
今は、居酒屋とアンソルスレール、そしてこの月華をまとめるマネージャーとして活躍している。
秋田のスパークリング酒で乾杯をした。
細やかな泡が立ち上るグラスに照明があたりキラキラと輝く。
「おめでとう」
京子と佐藤隆が美しい胡蝶蘭を抱えて現れた。
「送ろうかとも思ったけど荷物を持ってくれる人がいたから持ってきちゃった」
そう言って佐藤隆をみると彼は嬉しそうに胡蝶蘭を抱えてニコニコしている。その姿はさしずめ飼い主が大好きで仕方がない大型犬が尻尾をパタパタとしているように見える。
あれほど女にだらしのなかった彼が京子に付き纏い、もとい猛アタックの末、大学卒業と共に付き合い始めて1年になる。
京子は佐藤隆の両親にいたく気に入られてって当たり前よ!私の唯一無二の親友なんだから!
そんなことはいいとして、今はとてもラブラブな二人になっている。
仮の恋人だった時、竜基さんが日本酒専門のBARを作りたいと言っていた通り、あれからも時間ができた時は二人で旅行やドライブをしながら地酒と日本酒に合うグラスやぐい呑みを探していた。
そして私の夢もあの頃、週に一度のアンソルスレールが楽しみだった様に、頑張っている自分へのご褒美であり、一人でも落ち着ける空間を作りたいという気持ちで長友商店に入社して外食部門で「SAKE BAR 月華」の企画を担当してようやく完成した。
今日はそのプレオープンとして京子と佐藤隆が来てくれたのだ。
「落ち着いていて素敵なお店ね」
カクテルバーのような女性一人でも入りやすい雰囲気を作りたかった。
「ありがとう、ここは私の理想がたくさん詰まっている場所だから」
「確かに、あの頃のジミクラちゃんからは想像できないな」
「何言ってんのよ、ジミクラとか思ってたのはあんた達乃乃メンでしょ」
「うわーひでぇ、過去をえぐってくる」
あの時のことで、乃乃メン達は分裂して上野慎一とも連絡をすることがないらしい、そもそも佐藤隆は社交的だから歪な関係性で繋がっていた人たちと離れてもなんともないのだそうだ。
二人を座席に案内すると地酒の酒造メーカーの人や、グラス工房の方など二人で訪れて知り合った方たちも来てくれて最後は竜基さんが私の両親を連れて来てくれた。
「随分とおしゃれなお店ね」
「うん、すこしカジュアル気味にして若い女性にも来てもらえるようにしたの」
「長友さんが挨拶にいらした時は本当のことを言うと凄く不安だったのよ、でも今は大学もちゃんと卒業して社会にも出てくれたことはとても嬉しいわ」
お父さんは相変わらず無言で頷いている。
「なんだかんだ言っても長友商店への入社だからコネだと言われても仕方がないんだけど、だからこそ誰にもそんなふうに言われないように頑張ろうと思う」
「親父の代で固めた地盤で俺はもっとこの会社を発展させていきたい。コネも立派な実力だし俺が作りたいと思っていたこの店を亜由美が引き継いで実現化させてくれた、これからも期待してる」
そう言って私を見つめる竜基さんにドキドキしてしまう。3年も一緒に暮らしていてもやっぱりオトナの色気には勝てそうにない。
両親を席に案内したところで橘マネージャーが店内をぐるっと見回して「そろそろ開始しましょう、お客様にグラスを渡して」とスタッフに声を掛けた。
橘先輩は長友商店に入社すべく居酒屋“憩屋”でアルバイトをしていたんだとか、そして長友商店の面接の時に志望理由で会社の将来性とその為には現場でのセクハラやパラハラの撲滅が必要だと言う話をして竜基さんが個別に話を聞いたことで、あの憩屋への志摩襲撃事件の日につながったのだそうだ。
橘先輩のおかげでやりたい放題だったチーフの解雇が実現して、店内はとても働きやすくなった。
今は、居酒屋とアンソルスレール、そしてこの月華をまとめるマネージャーとして活躍している。
秋田のスパークリング酒で乾杯をした。
細やかな泡が立ち上るグラスに照明があたりキラキラと輝く。