スパダリ部長に愛されてます

3回目のレッスン

先週は気まずいことが立て続けにあった。
元カレが来るし、泣いちゃうし、恥ずかしい。
会社ではほとんど部長の顔を見れなかった。

私はヨガ教室が終わった後の部長との時間を『デート』と呼んでいる。
クラスが終わったら、当たり前のように待ち合わせをしてお茶をする。

すると今日は少し早い時間に、
「今日もディナーはどうかな。
あと、待たせるのも申し訳ないし、一度解散してもいいかな。」
どうも先週よりも素敵なお店に連れて行ってくれるようなので、私も一度家に帰って着替えることにする。

その後、ヨガ教室の前で別れ、2時間後に私のマンションの前で会うことを約束する。
家に帰り、汗もかいていたから、シャワーを浴びて、お化粧も直す。
迷ったけれど、
普段会社では着ない淡いピンクの無地で、
ウェストに切替があり、裾の広がったAラインワンピースにしてみた。
その上にウェストまでのダウンジャケットをはおり、鏡で最終チェックする。

部長から電話があり、
エントランスに降りると、いつもの仕事用のスーツではなく、
ツィードのジャケットをはおった部長がタクシーの横に立っていた。
あまりにも自分が気合が入り過ぎかしらと心配していたけど、失礼のないワンピースで良かったと安心した。
でも、部長の顔が見えてくると、こちらを見てどうも困った顔をしている。
「賢二さん、何か変です?」
ダウンジャケットの下のワンピースの裾をつまんで拡げて確認する。
「いやいや、大丈夫。
キレイでびっくりしたんだ。」
「ふぇ?」
えーえーえー、キレイって??
キレイって私のこと?いやいや、ワンピースのことかしら。
でも、褒めていただいたんだから、良いのよね。
せっかくだから、楽しまなくちゃ。
恥ずかしくて部長の顔を見れない。
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