スパダリ部長に愛されてます
レッスン当日

緊張しつつも、意外としっかり眠れて、気持ちの良い朝を迎えることができた。
朝8時半には出勤し、午前のレッスン2クラスを終え、控室で軽めのランチをとる。
家から持ってきたスモークサーモンとクリームチーズのサンドウィッチとコンビニで買ったグリーンスムージーをゆっくりと味わう。
ここでお昼を過ごすのははじめてだから、結構新鮮だ。

食後、午後から使う先ほどよりも小さいスタジオに入り、
電気と空調のスイッチを入れる。
入口の反対側に自分のマットを敷く。
ゆるいストレッチで心と身体をほぐして午後のレッスンに備える。

レッスンが始まる13時半より15分前には受付のカウンター内で待つことにする。
受付のマキちゃんと一緒に事務作業をしていたらドアが開く音がして、生徒さん・・・部長が現れた。
「こんにちは」
あまり不自然にならないように、ゆっくりと立ち上がって挨拶をする。
「え?」
「部長、お疲れ様です。
古谷洋子です。
今日はよろしくお願い致します。」
緊張しつつも、深々と頭を下げ挨拶をした。

一瞬ぽかんとする部長の顔が貴重で面白いけど、部長はすぐに顔を正す。
「古谷さん?
そうか、古谷洋子さん、ヨーコ先生か。」
あごに手をやり、納得するようにうなずく。
ケイコさんから私の下の名前だけは聞いていたのだろうか。

「はい
今日は私が先生なんですよ。」
「お手柔らかに頼むよ、先生。
「はい。よろしくお願いします。」
「また、あとで。」
にこりと笑いながら、部長は更衣室へと入って行った。

ふぅーーー。
息を吐きつつイスに座り込むと、
受付のマキちゃんが、もの言いたげにこちらを見ているが、
他のレッスンの生徒さんが続々と入ってくる手前、
「あとでね」と目くばせし、続々と来る生徒さんの受付の手伝いをする。
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