Cherry Blossoms〜白銀の女神〜

Snow White

誰もが寝静まる午前零時、一軒のとあるバーには微かな灯りが灯されていた。三十人は入ることができるであろう店内は、バーカウンターの真上に吊るされたペンダントライトだけがぼんやりと照らしている。そして、その灯りの下では、三人の男性と一人の女性が何かを話していた。

「ーーー計画はこんな感じ。大丈夫？」

ミルクティーブラウンのふわふわとした髪に赤い瞳を持ち、黒いスーツを着てループタイをつけている男性が言う。すると、女性が口を開いた。

「待って。イエティは任務に来ないの？」

イエティとは、彼の本当の名前ではない。コードネームだ。イエティは残念そうな顔を一瞬見せ、笑う。

「俺、ちょっと前に公安とバトったんだよね〜。優秀な警察官っぽかったから、表にあんまり出るなってボスから言われててさ〜。だから今回の任務は君ら三人に任せるってわけ」

「ボスの命令なら仕方ないな」

二人の男性もそう言い、女性は少し残念そうにイエティの腕に抱き付く。その目はどこか熱を帯びていた。