Cherry Blossoms〜白銀の女神〜
二十代前半ほどの若い女性四人が楽しそうに話しながら歩いている。

「早く温泉入るか〜……。寒!」

スキー板を横脇に抱えながら、桜士と同世代ほどの男性が体を震わせながら桜士の横を通り過ぎていく。

ロビーにいる人物に、怪しい動きや態度のおかしい人物は見当たらない。従業員もそれは同様だった。

(爆弾を仕掛けるとしたら、やはり自分が泊まっている客室か?だとすると面倒だな……)

さすがに一室ずつ調べていくのは効率が悪い。もしも、遠隔操作のできる爆弾ならば、部屋に入った瞬間に爆破ボタンを押されるだろう。

(そもそも、このホテルを奴らが狙う目的すらまだわからないからな)

そう考えながら桜士がグルリとまたロビーを見回していると、耳に聞き慣れた優しく甘い声がした。

「……本田先生、ですか?」

その声を聞いただけで、桜士の胸は一瞬にして高鳴っていく。甘い蜜が心の中に広がり、警戒心を一瞬にして溶かしてしまう。

「四月一日先生……」

振り向いた先には、驚いた様子の一花が立っていた。そして、彼女の後ろには、wingのeagleのメンバーが立っていた。
< 14 / 64 >

この作品をシェア

pagetop