Cherry Blossoms〜白銀の女神〜
突然の邂逅にお互い驚いて固まってしまったものの、すぐにウガンダ出身の小児外科医であるヨハン・ファジルが「おい」と声をかける。

「そんなところにボウッと突っ立ってたら、他の人の邪魔だろ?端によるなりしろよ」

ヨハンの態度に桜士は怒りを覚えたものの、彼の言葉は正しい。ロビーは人が忙しなく行き交う場所だ。

「あそこにカフェがあるから、あそこで話そうか」

チリ出身の外科医であるクラウディオ・エルナンデスが言い、カフェの看板を指差す。そこには「スイーツビュッフェ開催中!」とおいしそうなケーキの写真と共に書かれており、「ビュッフェ……!」と一花の目が輝いていたのを、桜士は見逃さなかった。

「一花、行こう!」

「ケーキ!ケーキ!」

ケニア出身の看護師であるアルオチ・キバキが一花の手を引き、アメリカ出身の麻酔科医であるアルフレッド・ブレイディが子どものようにはしゃぎながらカフェへと向かう。もうカフェに行くのは決定事項のようだ。
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