Cherry Blossoms〜白銀の女神〜

「リティク、ディズニーはショーだけじゃないだろ！キャラとのグリーティングも魅力だろ？ジャファーと写真撮りたい」とヨハン。

みんなが旅行の話をする中、桜士はそっと自分の席に座る。すると、スイーツを乗せた皿の近くにスッとコーヒーの入ったカップが置かれた。桜士が顔を挙げると、そこには一花が立っている。

「本田先生、コーヒーでよかったですか？砂糖とミルクはいりますか？好みがわからなくて、すみません……」

「ありがとうございます！ブラックで大丈夫ですよ！」

どうやら一花が頼んでくれたようだ。その優しさに、ジワリと桜士の心は温かくなり、トクトクと脈が早くなる。

「お前、何顔を赤くしてんだ？」

ギロリとヨハンに睨まれてしまったが、桜士は何も気にならなかった。ただ、胸が幸せと愛しさでいっぱいだったのだ。ちなみに、ヨハンは一花や他のメンバーに怒られていた。

その様子を見ながら桜士は笑みを浮かべつつ、頭の片隅では目的を忘れていたわけではない。周りに不審者がいないか、不審物がないか、目だけを動かしていく。