Cherry Blossoms〜白銀の女神〜
「うわ〜、辺り一面真っ白!雪まみれですね!」
桜士の隣でそう言い子どものようにはしゃいでいるのは、公安警察の後輩である灰原十(はいばらみつる)だ。キャリーケースを引きながら目を輝かせている。
「おい、それははしゃぐ観光客になりきっているのか?それとも本当にはしゃいでいるのか?どっちだ?」
桜士が声をかけると、十は満面の笑みで「両方です!」と答える。その態度に桜士は呆れつつ、十の耳元で囁くように言う。
「俺たちの目的を忘れるんじゃないぞ、雨宮唯(あまみやゆい)」
桜士が十に与えられた偽名を言うと、十の顔から笑顔が消え、真剣な表情に変わる。周りの人々の声がどこからか吹いた強い風によって聞こえなくなっていく中、十は唇を動かす。
「ーーーわかってますよ、本田先生」
桜士と十は今、東京を離れて北海道に来ている。観光ではなく公安の仕事でだ。
ことの発端は、公安のパソコンに送られてきた一通のメールだった。それは、北海道の白雪ホテルに、公安や各国の捜査機関が追っている犯罪組織・Cerberusの幹部が来るという内容のものである。
桜士の隣でそう言い子どものようにはしゃいでいるのは、公安警察の後輩である灰原十(はいばらみつる)だ。キャリーケースを引きながら目を輝かせている。
「おい、それははしゃぐ観光客になりきっているのか?それとも本当にはしゃいでいるのか?どっちだ?」
桜士が声をかけると、十は満面の笑みで「両方です!」と答える。その態度に桜士は呆れつつ、十の耳元で囁くように言う。
「俺たちの目的を忘れるんじゃないぞ、雨宮唯(あまみやゆい)」
桜士が十に与えられた偽名を言うと、十の顔から笑顔が消え、真剣な表情に変わる。周りの人々の声がどこからか吹いた強い風によって聞こえなくなっていく中、十は唇を動かす。
「ーーーわかってますよ、本田先生」
桜士と十は今、東京を離れて北海道に来ている。観光ではなく公安の仕事でだ。
ことの発端は、公安のパソコンに送られてきた一通のメールだった。それは、北海道の白雪ホテルに、公安や各国の捜査機関が追っている犯罪組織・Cerberusの幹部が来るという内容のものである。