Cherry Blossoms〜白銀の女神〜

メドューサがナイフを振り上げながら走ってくる。彼女が目をギラつかせながら狙いを定めているのは、ナタリアだ。

「危ない！」

桜士はナタリアの手を引き、メドューサが振り下ろしたナイフは掠ることすらなかった。ナタリアは少し驚いた様子を見せている。

「本田先生、私はこう見えて強いので、守っていただかなくても大丈夫ですよ？」

「ですが……」

ナタリアが怪我をしてしまえば、ホテルの部屋のベッドで安静にしている一花が悲しむだろう。だが、ナタリアは息を荒くしてこちらを並んでいるメドューサを冷静な目で見つめた。

「彼女は私一人でも問題ありません。本田先生は、あとの二人をお願いします」

桜士がミノタウロスとスキュラの方を見ると、ミノタウロスは拳銃を取り出し、ジェイムズもため息を吐きながら拳銃を取り出す。

「本田は俺の後ろに、雨宮はクラウディオ先生の後ろに隠れろ。ただ一応これは持っておけ」

ヨハンがそう言い、近くに落ちていた太い木の棒を二本手にし、一本を桜士に差し出す。桜士はそれを受け取りながら言った。