Cherry Blossoms〜白銀の女神〜
その時、桜士はあることに気付く。スキュラとミノタウロスが持っている拳銃は、先ほどから撃つだけで弾をこめている様子はない。

「ヨハン先生、あの銃の弾はそろそろ切れると思います。あの二人が弾をこめている時がチャンスです」

桜士がそう言うと、ヨハンは舌打ちをした後、「それは俺も考えていた」と言う。その数秒後、銃声が止んだ。

「チッ、弾切れだ」

ミノタウロスがそう言い、スキュラも黙りながら弾をこめ始める。その隙に桜士が飛び出し、スキュラに向かって拳を振り上げる。それは避けられてしまったものの、桜士は迷うことなく足を回し、スキュラを蹴り上げようとした。

「お前、俺より目立つなよ!!」

ヨハンの大声が響く。彼はいつの間にかスキュラの背後に回っており、木の棒を振り下ろす。

「グッ!」

スキュラの表情が焦ったようなものに変わった。それは、彼のそばでクラウディオと十と戦っているミノタウロス、ナタリアと戦っているメドューサも同じだった。
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