Cherry Blossoms〜白銀の女神〜
「逃げられたか……」

クラウディオが悔しげに言う。ヨハンが舌打ちをし、ナタリアはゆっくりと俯いた。その時、「大丈夫か〜!?」と大声と共に何者かが走ってくる音が聞こえてくる。

「クラウディオ先生、ナタリア、ヨハン、みんな大丈夫か!?」

そう言い、姿を見せたのはオリバーだった。オリバーの背中には真剣な顔をした一花がいる。

「一花、部屋で安静にしないといけないじゃない!」

ナタリアが一花に駆け寄ると、彼女は「みんなは大丈夫なの!?」と大声を出した。その手は微かに震えている。

「銃声が何度も聞こえたから、誰かが撃たれたんじゃないかと怖くて……」

そう震える一花に、桜士は胸が高鳴っていく。心配してくれているのだ。桜士は自分の巻いているマフラーを外し、一花に巻き付けた。

「寒いので、巻いておいてください。体が冷えてしまいます」

「あ、ありがとうございます……」

顔を赤くしながら一花はお礼を言う。その表情に桜士が癒しを感じていると、リティクが解体した爆弾を手にやって来た。
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