Restart~あなたが好きだから~
内心、動揺しまくっている七瀬に対して、何事もなかったかのように、圭吾は席に着く。
(何、この人・・・。)
昨日の今日で・・・七瀬は思わず、彼の顔を見るが
「それじゃ、今日のスケジュール確認からよろしく。」
圭吾は七瀬を促す。
(そうだよね、ここは仕事場なんだから。)
思い直した七瀬は、圭吾の顔を見ながら、話し始める。
副社長就任初日のスケジュールは、まず新メンバーによる臨時取締役会。それが終わると、各取引先への挨拶周り。向こうから出向いて来るところもあれば、こちらが出向く企業もある。
当たり前だが、その辺はお互いの力関係。今日はこちらが出向く側だ。周る順番を改めて確認するように伝えた七瀬は
「挨拶周りには、私も同行いたしますので、よろしくお願いします。」
と締めた。
「わかった。今日はとにかく顔繋ぎに徹するよ。何事も最初が肝心だからな。」
「はい。一口に同じ副社長と言っても、ウチのように名実ともにNO2の企業もあれば、失礼ながらお飾り、名誉職的な存在な方もいらっしゃいます。その辺のところを見極められることも大事だと思います。」
「そうだな。」
七瀬の言葉に頷いた圭吾は
「七瀬、いいアドバイスをありがとう。」
と言って、ニヤッと笑う。
「いえ。」
その圭吾の表情に、ハッとした七瀬は、思わず視線を逸らしてしまう。
「じゃ、早速取締役会に行って来るから。」
そんな七瀬を見ながら、立ち上がる圭吾。
「行ってらっしゃいませ。」
七瀬が慌てたように見送りの声を掛けると、圭吾がいきなり彼女の身体を抱き寄せる。
(えっ?)
驚いたように腕の中で、自分を見上げる秘書に
「行って来るからな、ハニー。」
そう言って微笑むと、圭吾は離れて行く。ドアの向こうに消えて行った副社長の後ろ姿を見送りながら七瀬は、やや呆然と立ち尽くしていたが、すぐにパタンと閉まる扉の音に、ハッと我に返った。
(顔が、熱い・・・。)
今の自分が顔を真っ赤にしていることを自覚して
(私、チョロ過ぎる・・・。)
我ながら呆れていると、オフィスの内線電話が鳴り出した。
(こんなんじゃ、ダメだ。)
自分で自分を叱咤した七瀬は、ひとつ大きく息をすると、受話器を取り上げ
「はい、副社長室です。」
声を上げた。
(何、この人・・・。)
昨日の今日で・・・七瀬は思わず、彼の顔を見るが
「それじゃ、今日のスケジュール確認からよろしく。」
圭吾は七瀬を促す。
(そうだよね、ここは仕事場なんだから。)
思い直した七瀬は、圭吾の顔を見ながら、話し始める。
副社長就任初日のスケジュールは、まず新メンバーによる臨時取締役会。それが終わると、各取引先への挨拶周り。向こうから出向いて来るところもあれば、こちらが出向く企業もある。
当たり前だが、その辺はお互いの力関係。今日はこちらが出向く側だ。周る順番を改めて確認するように伝えた七瀬は
「挨拶周りには、私も同行いたしますので、よろしくお願いします。」
と締めた。
「わかった。今日はとにかく顔繋ぎに徹するよ。何事も最初が肝心だからな。」
「はい。一口に同じ副社長と言っても、ウチのように名実ともにNO2の企業もあれば、失礼ながらお飾り、名誉職的な存在な方もいらっしゃいます。その辺のところを見極められることも大事だと思います。」
「そうだな。」
七瀬の言葉に頷いた圭吾は
「七瀬、いいアドバイスをありがとう。」
と言って、ニヤッと笑う。
「いえ。」
その圭吾の表情に、ハッとした七瀬は、思わず視線を逸らしてしまう。
「じゃ、早速取締役会に行って来るから。」
そんな七瀬を見ながら、立ち上がる圭吾。
「行ってらっしゃいませ。」
七瀬が慌てたように見送りの声を掛けると、圭吾がいきなり彼女の身体を抱き寄せる。
(えっ?)
驚いたように腕の中で、自分を見上げる秘書に
「行って来るからな、ハニー。」
そう言って微笑むと、圭吾は離れて行く。ドアの向こうに消えて行った副社長の後ろ姿を見送りながら七瀬は、やや呆然と立ち尽くしていたが、すぐにパタンと閉まる扉の音に、ハッと我に返った。
(顔が、熱い・・・。)
今の自分が顔を真っ赤にしていることを自覚して
(私、チョロ過ぎる・・・。)
我ながら呆れていると、オフィスの内線電話が鳴り出した。
(こんなんじゃ、ダメだ。)
自分で自分を叱咤した七瀬は、ひとつ大きく息をすると、受話器を取り上げ
「はい、副社長室です。」
声を上げた。