Restart~あなたが好きだから~
言葉もなく涙を流し、手を握り合い、そして見つめ合う大和と弥生。そんなふたりを、何とも言えない気持ちで見ていた七瀬だったが、そっと席を外した福地に気付くと、彼を追うように病室を出た。
「前から弥生に頼まれてたんですよ。今日、連れてって欲しい所があるって。どこだと思います?」
七瀬が追って来たのに気付いた福地が言う。
「式場ですよ。今日、弥生が大和さんと結婚するはずだった・・・。」
廊下の窓から、外を眺めながら、七瀬に背を向けたまま、福地は言った。
「本当に楽しみにしてたんです、今日と言う日を。大和さんの花嫁になれるはずだったこの日を。でもそれは叶わず、せめて最後の思い出にその場所を訪れたいという思いさえも、今の弥生の体力が許さなかった・・・。」
「最後・・・。」
その言葉をポツンと呟いた七瀬に
「病気がわかったのは、ブライダルチェックの時でした。」
福地は語り始める。
「地元の病院での検査で引っ掛かって、弥生は僕に相談して来たんです。僕と弥生は母親同士が姉妹のいとこなんです。ついでに言えば、僕は医者じゃない、介護士です。小さい頃から仲良くしていた僕がたまたまこの病院で、介護士をしていたから、相談を受ける為にふたりで会っているところを、あなたに見られたんでしょう。検査の結果は最悪、悪性リンパ腫。それもかなり進行していて、すぐにでも治療に入る必要があるとの診断だった。」
「・・・。」
「正直に言えば、その時点で既に病状はかなり厳しいものがあった。それに、一命を取り留められたとしても、子供を望むことは出来ない。医師から、そう告げられた弥生は大和さんとのことを諦めたんです。」
「だから彼女は婚約破棄を・・・。」
「そうです。」
「でも、なぜ別に好きな人が出来たなんて嘘を・・・。」
「大和さんの負担になりたくなかったからです。」
「えっ?」
「弥生の病のことを、大和さんが知れば、当然全力で彼女を支えようとするでしょう。」
「はい。」
「でもその先に待っているもの、それは悲劇的な結末である可能性が高かった。そうなった時、大和さんが受ける衝撃、悲しみがどんなに大きく、激しいものになってしまうか、弥生には想像に難くなかった。それが、その先の大和さんの人生にどんな影を落とすことになるか、弥生はそれを恐れたんです。」
「前から弥生に頼まれてたんですよ。今日、連れてって欲しい所があるって。どこだと思います?」
七瀬が追って来たのに気付いた福地が言う。
「式場ですよ。今日、弥生が大和さんと結婚するはずだった・・・。」
廊下の窓から、外を眺めながら、七瀬に背を向けたまま、福地は言った。
「本当に楽しみにしてたんです、今日と言う日を。大和さんの花嫁になれるはずだったこの日を。でもそれは叶わず、せめて最後の思い出にその場所を訪れたいという思いさえも、今の弥生の体力が許さなかった・・・。」
「最後・・・。」
その言葉をポツンと呟いた七瀬に
「病気がわかったのは、ブライダルチェックの時でした。」
福地は語り始める。
「地元の病院での検査で引っ掛かって、弥生は僕に相談して来たんです。僕と弥生は母親同士が姉妹のいとこなんです。ついでに言えば、僕は医者じゃない、介護士です。小さい頃から仲良くしていた僕がたまたまこの病院で、介護士をしていたから、相談を受ける為にふたりで会っているところを、あなたに見られたんでしょう。検査の結果は最悪、悪性リンパ腫。それもかなり進行していて、すぐにでも治療に入る必要があるとの診断だった。」
「・・・。」
「正直に言えば、その時点で既に病状はかなり厳しいものがあった。それに、一命を取り留められたとしても、子供を望むことは出来ない。医師から、そう告げられた弥生は大和さんとのことを諦めたんです。」
「だから彼女は婚約破棄を・・・。」
「そうです。」
「でも、なぜ別に好きな人が出来たなんて嘘を・・・。」
「大和さんの負担になりたくなかったからです。」
「えっ?」
「弥生の病のことを、大和さんが知れば、当然全力で彼女を支えようとするでしょう。」
「はい。」
「でもその先に待っているもの、それは悲劇的な結末である可能性が高かった。そうなった時、大和さんが受ける衝撃、悲しみがどんなに大きく、激しいものになってしまうか、弥生には想像に難くなかった。それが、その先の大和さんの人生にどんな影を落とすことになるか、弥生はそれを恐れたんです。」