Restart~あなたが好きだから~
七瀬は翌日1日、病院に詰めていた。
「今は五分五分です。このまま容態が安定してくれれば、少し時間は掛かるかもしれませんが、いい方向に向かうはずです。ですが、予断は許しません。そういう意味では、この1日2日が峠と言えるでしょう。」
という医師の言葉を大和の両親と共に聞いた七瀬は
(お願い大和、生きて。佐倉さんのいない世界で生きて行くのは寂しくて、つらいかもしれないけど、でも絶対に生きて。あなたは・・・ひとりじゃないんだから。)
と心の中で彼に訴えずにはいられなかった。が、この日、大和の容態には結局変化は見られず、面会時間の終了と共に、七瀬は後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。
様々な思いを振り払って、次の日出勤して見ると
「よかった、来てくれて。昨日は大変だったのよ。」
秘書課長が心底ホッとしたという表情で出迎えた。昨日は副社長秘書代行として、課長自身がオフィスに入ったのだが、次々と持ち込まれて来る案件に目を白黒させていたらしい。
「あなた、あんなにいろんなことをやってるの?」
「はい。」
「副社長からあなたが、通常の秘書業務より高いレベルの仕事を求められてることは聞いてなかったわけじゃないから、あんまり無茶振りはしないように釘は刺して来たんだけど、どうも余計なお節介だったみたいね。」
「そんなことは・・・。」
首を振る七瀬に
「これじゃ、副社長はいよいよあなたを手離せなくなるわね。」
課長はそう言って、意味深に笑った。
「課長・・・。」
「とにかく、副社長がお待ちかねだから、早く行ってあげて。」
「えっ、もういらしてるんですか?わかりました、では失礼します。」
七瀬は一礼すると、慌てて副社長室に入り、圭吾の執務室をノックした。
「おはようございます。すみません、遅くなってしまって。」
「別にお前が遅いわけじゃない。昨日がしっちゃかめっちゃかだったから、それを取り戻すには早く来るしかなかったんだ。」
焦る七瀬に、圭吾は苦笑いを浮かべながら言う。
「私が急にお休みをいただいたばかりに・・・本当に申し訳ありませんでした。」
申し訳なさそうに頭を下げる七瀬に
「休むように言ったのは俺なんだから、七瀬が謝る必要なんかないさ。だいたいここまで混乱したのは、あのおばさんが本当にあんた秘書課長なんですかって言いたくなるくらいグダグダだったからだ。城之内さんだったら、ここまで酷くなってねぇよ。」
と答えた圭吾は呆れ顔だった。
「今は五分五分です。このまま容態が安定してくれれば、少し時間は掛かるかもしれませんが、いい方向に向かうはずです。ですが、予断は許しません。そういう意味では、この1日2日が峠と言えるでしょう。」
という医師の言葉を大和の両親と共に聞いた七瀬は
(お願い大和、生きて。佐倉さんのいない世界で生きて行くのは寂しくて、つらいかもしれないけど、でも絶対に生きて。あなたは・・・ひとりじゃないんだから。)
と心の中で彼に訴えずにはいられなかった。が、この日、大和の容態には結局変化は見られず、面会時間の終了と共に、七瀬は後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。
様々な思いを振り払って、次の日出勤して見ると
「よかった、来てくれて。昨日は大変だったのよ。」
秘書課長が心底ホッとしたという表情で出迎えた。昨日は副社長秘書代行として、課長自身がオフィスに入ったのだが、次々と持ち込まれて来る案件に目を白黒させていたらしい。
「あなた、あんなにいろんなことをやってるの?」
「はい。」
「副社長からあなたが、通常の秘書業務より高いレベルの仕事を求められてることは聞いてなかったわけじゃないから、あんまり無茶振りはしないように釘は刺して来たんだけど、どうも余計なお節介だったみたいね。」
「そんなことは・・・。」
首を振る七瀬に
「これじゃ、副社長はいよいよあなたを手離せなくなるわね。」
課長はそう言って、意味深に笑った。
「課長・・・。」
「とにかく、副社長がお待ちかねだから、早く行ってあげて。」
「えっ、もういらしてるんですか?わかりました、では失礼します。」
七瀬は一礼すると、慌てて副社長室に入り、圭吾の執務室をノックした。
「おはようございます。すみません、遅くなってしまって。」
「別にお前が遅いわけじゃない。昨日がしっちゃかめっちゃかだったから、それを取り戻すには早く来るしかなかったんだ。」
焦る七瀬に、圭吾は苦笑いを浮かべながら言う。
「私が急にお休みをいただいたばかりに・・・本当に申し訳ありませんでした。」
申し訳なさそうに頭を下げる七瀬に
「休むように言ったのは俺なんだから、七瀬が謝る必要なんかないさ。だいたいここまで混乱したのは、あのおばさんが本当にあんた秘書課長なんですかって言いたくなるくらいグダグダだったからだ。城之内さんだったら、ここまで酷くなってねぇよ。」
と答えた圭吾は呆れ顔だった。