Restart~あなたが好きだから~
その後、自分の援護射撃ですっかり意気軒高となった母に叔父は
「でも、今のはあくまで結婚した人の数だ。実際には結婚を望まない『非婚者』も増えているからな。姉さん、今はいろんな価値観があるんだ。俺自身は自分の子供たちには出来れば結婚して欲しいと思ってるけど、その思いを彼らに押し付けたいとは思ってないからね。」
と続けて、その話題を打ち切りにさせた。
法事は終わり、いったん実家に戻った七瀬は、帰りの車内でもまだブツブツ言っている母にまともに取り合わず、早々に帰宅の途についた。
「せっかくだから、夕飯くらい食べて行け。」
という父の言葉に首を振り
「明日早いんだ。また帰って来るから。」
と笑顔で言うと、七瀬は実家を後にした。そして、駅まで歩き出そうとすると
「七瀬!」
後ろから呼び掛けて来る声。その声の主が誰か、瞬時にわかった七瀬は気が付かないフリで立ち去りたいくらいだったが、そうもいかず、懸命に笑顔を張り付けて、振り返り
「大和。」
と、呼び掛けると
「もう帰っちゃうのか?」
そう言いながら近づいて来る、柊木大和の屈託のない笑顔を見て、七瀬の心はギュッと痛む。
「うん、明日早いから・・・。」
「そうなんだ、相変わらず忙しそうで大変だな。でも会えてよかった。」
「今日はどうしたの?デート・・・じゃないの?」
「どうしても七瀬の顔が見たかったから。弥生も一緒に来るように誘ったんだけど、久しぶりの幼なじみとの再会を邪魔したくないから遠慮しますって言うから、早めに解散にしたんだ。」
「そう、だったんだ・・・。なんかごめんね。」
「そんなことないけど、なにしろ、七瀬がなかなか帰って来ないからさ。」
「・・・。」
「七瀬にはどうしても直接報告したかったんだ。」
「大和・・・。」
「弥生と正式に婚約した。俺たちがここまで辿り着けたのは、何と言っても七瀬のお陰なんだから、感謝してる。本当にありがとう。」
そう言って頭を下げる大和を見て、複雑な表情を浮かべた七瀬は、やがて彼が頭を上げると
「おめでとう。」
と懸命にその言葉を絞り出すように言った。
「ありがとう。」
そんな七瀬の心の中に気付くことなく、大和は笑顔を浮かべる。
「でも、今のはあくまで結婚した人の数だ。実際には結婚を望まない『非婚者』も増えているからな。姉さん、今はいろんな価値観があるんだ。俺自身は自分の子供たちには出来れば結婚して欲しいと思ってるけど、その思いを彼らに押し付けたいとは思ってないからね。」
と続けて、その話題を打ち切りにさせた。
法事は終わり、いったん実家に戻った七瀬は、帰りの車内でもまだブツブツ言っている母にまともに取り合わず、早々に帰宅の途についた。
「せっかくだから、夕飯くらい食べて行け。」
という父の言葉に首を振り
「明日早いんだ。また帰って来るから。」
と笑顔で言うと、七瀬は実家を後にした。そして、駅まで歩き出そうとすると
「七瀬!」
後ろから呼び掛けて来る声。その声の主が誰か、瞬時にわかった七瀬は気が付かないフリで立ち去りたいくらいだったが、そうもいかず、懸命に笑顔を張り付けて、振り返り
「大和。」
と、呼び掛けると
「もう帰っちゃうのか?」
そう言いながら近づいて来る、柊木大和の屈託のない笑顔を見て、七瀬の心はギュッと痛む。
「うん、明日早いから・・・。」
「そうなんだ、相変わらず忙しそうで大変だな。でも会えてよかった。」
「今日はどうしたの?デート・・・じゃないの?」
「どうしても七瀬の顔が見たかったから。弥生も一緒に来るように誘ったんだけど、久しぶりの幼なじみとの再会を邪魔したくないから遠慮しますって言うから、早めに解散にしたんだ。」
「そう、だったんだ・・・。なんかごめんね。」
「そんなことないけど、なにしろ、七瀬がなかなか帰って来ないからさ。」
「・・・。」
「七瀬にはどうしても直接報告したかったんだ。」
「大和・・・。」
「弥生と正式に婚約した。俺たちがここまで辿り着けたのは、何と言っても七瀬のお陰なんだから、感謝してる。本当にありがとう。」
そう言って頭を下げる大和を見て、複雑な表情を浮かべた七瀬は、やがて彼が頭を上げると
「おめでとう。」
と懸命にその言葉を絞り出すように言った。
「ありがとう。」
そんな七瀬の心の中に気付くことなく、大和は笑顔を浮かべる。