Restart~あなたが好きだから~
㉖
新しい週が始まった。いつものように出勤した七瀬が、朝のルーチンをこなしているうちに、圭吾がやって来た。
「おはようございます。」
「おはよう。」
一昨日のあのあと、愛奈も交え、全ての思いをぶつけ合ったふたりは、今はいつもと同じように執務室に入って行く。そして、スケジュ-ル確認が終わると
「一昨日も話した通り。」
と圭吾が切り出した。
「例の件は、今日の定例取締会の議題に上るはずだ。」
その言葉を聞いた七瀬の表情に、サッと緊張が走る。
「今日すぐに決まるかどうかはわからんが、恐らく大きな反対は出ないだろう。方向性が決まれば、また忙しくなるぞ。」
「はい。」
頷いた七瀬に対して
「取締役会の前に、ちょっと社長と会うことになってるから、少し早く出るぞ。」
圭吾は続けて言う。
「かしこまりました、それでは失礼します。」
そう言って、七瀬は執務室を後にした。デスクに戻り、席に着いた彼女は1つ息をついた。午前中は定例取締役会、午後は営業会議という、社内でも重要な会議が続く月曜日だが、ひょっとすると今日は長い1日になるかもしれない。そんな緊張感が湧き上がって来ていた。
(まずは集中だ。私は私がやるべきことをやって行くだけ。)
そう思い定めた七瀬は、両頬をパシッと自分で叩くと、パソコンに向かった。
10時から開催された取締会は、早い時には1時間程で終了するのだが、この日は正午を過ぎても、まだ続いていた。
「今日は随分長いわねぇ、なんか緊急議題があったのかしら?」
「いえ、特に事前には聞いてませんけど。」
「このままでは、午後のスケジュ-ルにも響きますよね。」
「そうよねぇ・・・。」
秘書課のオフィスでは、課長以下、集まって来たメンバ-が心配そうに話しているが、その中に社長秘書が混じっているのに、七瀬は内心驚いていた。
(課長も社長秘書も今日の緊急議題について、なにも聞かされてないんだ・・・。)
取締役会がここまで長引いているのは、緊急議題が理由としか七瀬には考えられない。そして、自分以外の秘書でそのことを知ってる者はひとりもいないのは間違いなさそうだし、それどころか、ひょっとしたらこのことは社内では、社長と圭吾、そして自分しか知らなかったのかもしれないと思い至った七瀬は、胸が熱くなると同時に、背筋が寒くなった。
「おはようございます。」
「おはよう。」
一昨日のあのあと、愛奈も交え、全ての思いをぶつけ合ったふたりは、今はいつもと同じように執務室に入って行く。そして、スケジュ-ル確認が終わると
「一昨日も話した通り。」
と圭吾が切り出した。
「例の件は、今日の定例取締会の議題に上るはずだ。」
その言葉を聞いた七瀬の表情に、サッと緊張が走る。
「今日すぐに決まるかどうかはわからんが、恐らく大きな反対は出ないだろう。方向性が決まれば、また忙しくなるぞ。」
「はい。」
頷いた七瀬に対して
「取締役会の前に、ちょっと社長と会うことになってるから、少し早く出るぞ。」
圭吾は続けて言う。
「かしこまりました、それでは失礼します。」
そう言って、七瀬は執務室を後にした。デスクに戻り、席に着いた彼女は1つ息をついた。午前中は定例取締役会、午後は営業会議という、社内でも重要な会議が続く月曜日だが、ひょっとすると今日は長い1日になるかもしれない。そんな緊張感が湧き上がって来ていた。
(まずは集中だ。私は私がやるべきことをやって行くだけ。)
そう思い定めた七瀬は、両頬をパシッと自分で叩くと、パソコンに向かった。
10時から開催された取締会は、早い時には1時間程で終了するのだが、この日は正午を過ぎても、まだ続いていた。
「今日は随分長いわねぇ、なんか緊急議題があったのかしら?」
「いえ、特に事前には聞いてませんけど。」
「このままでは、午後のスケジュ-ルにも響きますよね。」
「そうよねぇ・・・。」
秘書課のオフィスでは、課長以下、集まって来たメンバ-が心配そうに話しているが、その中に社長秘書が混じっているのに、七瀬は内心驚いていた。
(課長も社長秘書も今日の緊急議題について、なにも聞かされてないんだ・・・。)
取締役会がここまで長引いているのは、緊急議題が理由としか七瀬には考えられない。そして、自分以外の秘書でそのことを知ってる者はひとりもいないのは間違いなさそうだし、それどころか、ひょっとしたらこのことは社内では、社長と圭吾、そして自分しか知らなかったのかもしれないと思い至った七瀬は、胸が熱くなると同時に、背筋が寒くなった。