Restart~あなたが好きだから~
(俺は自分に対する愛奈の気持ちの強さに驚いたし、正直嬉しかった。それにはっきり言って、その合併話に魅力を感じている自分もいた。でも七瀬への想いは抱えたまま、その七瀬も、幼なじみに完全に振られ、彼への想いを捨て去る為に、半ばヤケになって、俺に告白して来た。お互いに迷いや躊躇いを抱えながら、それでもその自分の気持ちに気付かないフリをして、突っ走ろうとしたのが、あのバレンタインデ-の夜の俺たちだった・・・。)
あの日、圭吾と七瀬が会うことを知って、絶望的な気持ちになっていた愛奈を励ましたのは、奈穂だった
「諦めちゃダメ。そんな偽りと妥協の関係に絶対に負けちゃダメだよ!」
その妹の言葉に意を決して、愛奈はふたりをスト-カ-していたのだ。もしふたりのお互いへの想いが本物なら、諦めるつもりだった。だが、とてもそうは見えなくて、気が付いたら、彼らの前に飛び出していたのだと言う。
あれやこれやと思いを馳せていると、LINEの着信音が鳴った。
(七瀬か、それとも愛奈か・・・?)
そんなことを思いながら、スマホを見ると澤崎からだった。
『ご婚約おめでとうございます、副社長。ただいま入りました情報によりますと、婚約者さんは取材に対して、「今回のことは、いわゆる政略結婚だという人もいるでしょうけど、それは違います。私にとっては、10年来の想いが実ったんです。だから万が一、会社同士の婚約がダメになっても、私たちには何の影響もありません」と言い切ったそうですよ。彼女ほどの女性に、ここまで想われてるんですから、幸せだと思わなきゃバチが当たりますぞ。』
『わかってるよ、ちゃんと光栄だと思ってる。』
と返信したものの、丁寧な口調とは裏腹に、ニヤつきながら、このLINEを送って来たに違いない友人の顔がありありと浮かんで来て、圭吾は腹だしくなって来る。そこに続信が到着した。
『まぁ1つだけ確かなのは、貴島の執念の勝利というか、作戦勝ちだということだな。ところで、社内は現在、合併の話なんてどこへやら、お前の婚約のニュ-スでもちきりだぞ。女性社員を中心に、結構風当たりが強いようだぜ。会社の合併の為に、恋人の秘書を捨てたって。ま、気を付けて帰って来い。』
(冗談じゃない。どっちかって言えば、俺の方が七瀬に振られたんだ。)
これには圭吾も、憮然たる表情になった。
あの日、圭吾と七瀬が会うことを知って、絶望的な気持ちになっていた愛奈を励ましたのは、奈穂だった
「諦めちゃダメ。そんな偽りと妥協の関係に絶対に負けちゃダメだよ!」
その妹の言葉に意を決して、愛奈はふたりをスト-カ-していたのだ。もしふたりのお互いへの想いが本物なら、諦めるつもりだった。だが、とてもそうは見えなくて、気が付いたら、彼らの前に飛び出していたのだと言う。
あれやこれやと思いを馳せていると、LINEの着信音が鳴った。
(七瀬か、それとも愛奈か・・・?)
そんなことを思いながら、スマホを見ると澤崎からだった。
『ご婚約おめでとうございます、副社長。ただいま入りました情報によりますと、婚約者さんは取材に対して、「今回のことは、いわゆる政略結婚だという人もいるでしょうけど、それは違います。私にとっては、10年来の想いが実ったんです。だから万が一、会社同士の婚約がダメになっても、私たちには何の影響もありません」と言い切ったそうですよ。彼女ほどの女性に、ここまで想われてるんですから、幸せだと思わなきゃバチが当たりますぞ。』
『わかってるよ、ちゃんと光栄だと思ってる。』
と返信したものの、丁寧な口調とは裏腹に、ニヤつきながら、このLINEを送って来たに違いない友人の顔がありありと浮かんで来て、圭吾は腹だしくなって来る。そこに続信が到着した。
『まぁ1つだけ確かなのは、貴島の執念の勝利というか、作戦勝ちだということだな。ところで、社内は現在、合併の話なんてどこへやら、お前の婚約のニュ-スでもちきりだぞ。女性社員を中心に、結構風当たりが強いようだぜ。会社の合併の為に、恋人の秘書を捨てたって。ま、気を付けて帰って来い。』
(冗談じゃない。どっちかって言えば、俺の方が七瀬に振られたんだ。)
これには圭吾も、憮然たる表情になった。