Restart~あなたが好きだから~
そんな圭吾の厳しい視線を受け止め
「はい。今日、合併の件も発表になりましたし、いい区切りかと思います。専務秘書時代を含めても、まだ在任1年になるかならないかにも関わらず、このようなことを申し上げるのは心苦しいのですが・・・どうかお許しいただきたいと思います。」
七瀬はそう言って、慇懃に頭を下げた。
「理由を聞こうか?」
「私はあなたからパートナーになって欲しいと望んでいただきながら、結局それにお応えすることは出来ませんでした。バディとしては引き続き側に居て欲しいとおっしゃっていただいたのは、本当に嬉しかったのですが、でもいつの間にか、2人きりの時とは言え、あなたを『圭吾さん』とお呼びすることに、抵抗を感じなくなってしまった私が例え秘書、バディとしてでも、あなたの側に居続けていれば、絶対に愛菜さんは心穏やかではいられないはずです。もし、立場が逆なら、私もそう思うはずです。それが当たり前の感情だと思います。」
「・・・。」
「これからの圭吾さん・・・いえ副社長のバディはやはり愛奈さんであるべきです。だとしたら、もうこれ以上、私はあなたの側にいるべきではありません。それと・・・。」
「それと?」
「これは、愛奈さんとお話しした時は、想像もしてなかったことですが、大和があんなことになってしまい・・・。身体は徐々に回復しておりますが、退院までにはまだ時間が掛かりそうです。それに退院しても、引き続き、自宅で療養とリハビリを続けることになります。そんな彼を支えてあげたいんです。」
そう言って、七瀬は真っすぐに圭吾を見た。
「どうなんだ、彼の記憶は?正直、戻りそうな様子はあるのか?」
率直に聞いて来た圭吾に
「わかりません。思い出したこともありますが、少なくとも私のことを思い出す気配は、今のところ全くありません。酷過ぎませんか?全部忘れちゃったんならまだしも、亡くなった婚約者のことは覚えてて、昔からずっと一緒にいたはずの私のことは、きれいさっぱり忘れちゃうなんて・・・。」
自嘲的にこんなことを言って、ため息を吐く七瀬に、圭吾は掛ける言葉もない。
「はい。今日、合併の件も発表になりましたし、いい区切りかと思います。専務秘書時代を含めても、まだ在任1年になるかならないかにも関わらず、このようなことを申し上げるのは心苦しいのですが・・・どうかお許しいただきたいと思います。」
七瀬はそう言って、慇懃に頭を下げた。
「理由を聞こうか?」
「私はあなたからパートナーになって欲しいと望んでいただきながら、結局それにお応えすることは出来ませんでした。バディとしては引き続き側に居て欲しいとおっしゃっていただいたのは、本当に嬉しかったのですが、でもいつの間にか、2人きりの時とは言え、あなたを『圭吾さん』とお呼びすることに、抵抗を感じなくなってしまった私が例え秘書、バディとしてでも、あなたの側に居続けていれば、絶対に愛菜さんは心穏やかではいられないはずです。もし、立場が逆なら、私もそう思うはずです。それが当たり前の感情だと思います。」
「・・・。」
「これからの圭吾さん・・・いえ副社長のバディはやはり愛奈さんであるべきです。だとしたら、もうこれ以上、私はあなたの側にいるべきではありません。それと・・・。」
「それと?」
「これは、愛奈さんとお話しした時は、想像もしてなかったことですが、大和があんなことになってしまい・・・。身体は徐々に回復しておりますが、退院までにはまだ時間が掛かりそうです。それに退院しても、引き続き、自宅で療養とリハビリを続けることになります。そんな彼を支えてあげたいんです。」
そう言って、七瀬は真っすぐに圭吾を見た。
「どうなんだ、彼の記憶は?正直、戻りそうな様子はあるのか?」
率直に聞いて来た圭吾に
「わかりません。思い出したこともありますが、少なくとも私のことを思い出す気配は、今のところ全くありません。酷過ぎませんか?全部忘れちゃったんならまだしも、亡くなった婚約者のことは覚えてて、昔からずっと一緒にいたはずの私のことは、きれいさっぱり忘れちゃうなんて・・・。」
自嘲的にこんなことを言って、ため息を吐く七瀬に、圭吾は掛ける言葉もない。