Restart~あなたが好きだから~
その声をした方を見た面々は、あっという表情になる。
「私、柊木くんの彼女に立候補します。」
凛とした声でそう言って、スックと立ち上がったのは佐倉弥生。クラス委員を務め、成績優秀。更に誰にでも分け隔てなく接するその優しい性格と人目を惹く容姿も相まって、男女問わず人気の高い存在だった。そんな彼女が、呆気にとられる周囲を尻目に、スタスタと教壇に近付いて行き、大和の前に立つと
「柊木くん、是非私をあなたの彼女にして下さい。」
そう言って、頭を下げた。
「えっ、え・・・佐倉さん、本気で言ってるの・・・?」
動揺を露にする大和に
「もちろんだよ。」
答えた弥生は、ニッコリと微笑む。
「や、やだなぁ。佐倉さんも冗談を言うんだね。」
それを見た七瀬は慌てたように、割り込むが
「冗談言ってるつもりなんかないよ。」
弥生にキッとした表情を向けられ、その視線にたじろいだように押し黙る。
「ちょっと待ってよ、佐倉さんが柊木の彼女なんてあり得ないだろ。」
「そうだよ。そんな陰キャが弥生の彼氏なんて・・・。」
と騒ぎ出した外野にも
「柊木くんは陰キャなんかじゃない。失礼なこと言わないで!」
日頃の彼女に似合わない厳しい口調で言い返す。
すっかり教室が静まり返る中、大和に視線を戻した弥生は
「もう1度言います。私、佐倉弥生を是非、あなたの彼女にして下さい。」
頭をペコリと下げた。それを見た大和に
「こ、こちらこそ、是非よろしくお願いします・・・。」
という返事以外があるはずがなかった。それを聞いた弥生は、まだ戸惑いを隠せない大和の両手をガッチリ握ったあと
「嬉しい、本当にありがとう。これからよろしくね、大和くん。」
満面の笑みで大和に言った。
「佐倉さん。今、ぼ、僕のこと、や、大和くんって・・・。」
「だって私たち、カレカノになったんだよ、そんな当たり前でしょ。」
「う、うん・・・。」
「だから、大和くんも私のこと、『弥生』って呼んで。」
「えっ、それはちょっとまだ心の準備が・・・。」
「でも藤堂さんのことは、下の名前で呼んでるんでしょ?」
「それは七瀬は長い付き合いの幼なじみだから・・・。」
「これからは、私の方が藤堂さんより大和くんに近くなるんだよ。だから・・・。」
そんなことを言って、じっと見つめて来る弥生に、心臓が爆発しそうになりながら
「弥生・・・さん。」
と大和は小さい声で呼んだ。
「『さん』が余計だけど、それはこれから徐々に慣れてくれればいいや。じゃ、帰りましょ。」
そう言った弥生は、大和の手を引いて、固まっているクラスメイトたちに見送られて、教室を出て行った。
「私、柊木くんの彼女に立候補します。」
凛とした声でそう言って、スックと立ち上がったのは佐倉弥生。クラス委員を務め、成績優秀。更に誰にでも分け隔てなく接するその優しい性格と人目を惹く容姿も相まって、男女問わず人気の高い存在だった。そんな彼女が、呆気にとられる周囲を尻目に、スタスタと教壇に近付いて行き、大和の前に立つと
「柊木くん、是非私をあなたの彼女にして下さい。」
そう言って、頭を下げた。
「えっ、え・・・佐倉さん、本気で言ってるの・・・?」
動揺を露にする大和に
「もちろんだよ。」
答えた弥生は、ニッコリと微笑む。
「や、やだなぁ。佐倉さんも冗談を言うんだね。」
それを見た七瀬は慌てたように、割り込むが
「冗談言ってるつもりなんかないよ。」
弥生にキッとした表情を向けられ、その視線にたじろいだように押し黙る。
「ちょっと待ってよ、佐倉さんが柊木の彼女なんてあり得ないだろ。」
「そうだよ。そんな陰キャが弥生の彼氏なんて・・・。」
と騒ぎ出した外野にも
「柊木くんは陰キャなんかじゃない。失礼なこと言わないで!」
日頃の彼女に似合わない厳しい口調で言い返す。
すっかり教室が静まり返る中、大和に視線を戻した弥生は
「もう1度言います。私、佐倉弥生を是非、あなたの彼女にして下さい。」
頭をペコリと下げた。それを見た大和に
「こ、こちらこそ、是非よろしくお願いします・・・。」
という返事以外があるはずがなかった。それを聞いた弥生は、まだ戸惑いを隠せない大和の両手をガッチリ握ったあと
「嬉しい、本当にありがとう。これからよろしくね、大和くん。」
満面の笑みで大和に言った。
「佐倉さん。今、ぼ、僕のこと、や、大和くんって・・・。」
「だって私たち、カレカノになったんだよ、そんな当たり前でしょ。」
「う、うん・・・。」
「だから、大和くんも私のこと、『弥生』って呼んで。」
「えっ、それはちょっとまだ心の準備が・・・。」
「でも藤堂さんのことは、下の名前で呼んでるんでしょ?」
「それは七瀬は長い付き合いの幼なじみだから・・・。」
「これからは、私の方が藤堂さんより大和くんに近くなるんだよ。だから・・・。」
そんなことを言って、じっと見つめて来る弥生に、心臓が爆発しそうになりながら
「弥生・・・さん。」
と大和は小さい声で呼んだ。
「『さん』が余計だけど、それはこれから徐々に慣れてくれればいいや。じゃ、帰りましょ。」
そう言った弥生は、大和の手を引いて、固まっているクラスメイトたちに見送られて、教室を出て行った。