Restart~あなたが好きだから~
少しして、喫茶店を出て、帰社の途についた七瀬と田中。
(主任に褒められちゃったよ・・・。)
七瀬に従うように歩きながら、田中は思わず顔がニヤケて来るのを抑えられない。
(よし、これからもっと頑張らないとな・・・。)
そんなことを考えていると、駅に向かって歩いていた七瀬の足が突然止まった。
「主任、どうかしましたか?」
田中は尋ねるが、七瀬は返事もせず、反対側の歩道に目をやっている。ふと、見覚えのあるシルエットが視界に入って来たからだ。
(佐倉さん・・・?)
一瞬見間違いかと思い、よく目を凝らしてみるが、やはり七瀬が複雑な思いを抱き続けるかつてのクラスメイト、佐倉弥生の姿がそこにあった。
(何で、こんな所に・・・?)
七瀬の記憶が間違ってなければ、弥生の勤務先はこの近辺ではないはずだ。にも関わらず、平日の白昼の時間に、なぜ弥生の姿があるのか?そのまま、その姿を目で追っていると、彼女は通りにあるカフェに入って行き、そして、キョロキョロと中を見回している。すると、そんな彼女に気が付いたひとりの男性が、サッと手を挙げると、弥生はその男性の座るテーブルに近付いて行き、席に着いた。
(何なの?あれ・・・。)
訝しげに、2人の様子を見つめる七瀬の耳に
「主任。」
彼女の様子を心配するように呼び掛けて来る田中の声が聞こえて来て、ハッと我に返った。
「ごめんなさい。ちょっと知り合いに似た人がいたからびっくりしちゃって。でもやっぱり違うみたいだから・・・。行きましょう。」
そう言って、笑顔を見せると、七瀬は足早に歩き出した。
それからの七瀬は、何事もなかったかのように振る舞ってはいたが、その内心は乱れていた。終業時間を迎え、足早にオフィスを後にして、会社の建物を出た途端、彼女は大きく1つ息を吐いた。
(なんだったのよ、あれ・・・。)
そんな思いが改めて浮かんでくる。知り合いかと思ったけど、人違いだった・・・田中にはそう取り繕った七瀬だったが、その言葉が嘘であることは、自分自身がよくわかっている。昼間見た光景が、七瀬の瞼の裏に甦って来る。
あの時、向かい合って座った2人の様子は、とても親密そうで、少なくともビジネスで、会ってるようには七瀬の目には映らなかった。
(主任に褒められちゃったよ・・・。)
七瀬に従うように歩きながら、田中は思わず顔がニヤケて来るのを抑えられない。
(よし、これからもっと頑張らないとな・・・。)
そんなことを考えていると、駅に向かって歩いていた七瀬の足が突然止まった。
「主任、どうかしましたか?」
田中は尋ねるが、七瀬は返事もせず、反対側の歩道に目をやっている。ふと、見覚えのあるシルエットが視界に入って来たからだ。
(佐倉さん・・・?)
一瞬見間違いかと思い、よく目を凝らしてみるが、やはり七瀬が複雑な思いを抱き続けるかつてのクラスメイト、佐倉弥生の姿がそこにあった。
(何で、こんな所に・・・?)
七瀬の記憶が間違ってなければ、弥生の勤務先はこの近辺ではないはずだ。にも関わらず、平日の白昼の時間に、なぜ弥生の姿があるのか?そのまま、その姿を目で追っていると、彼女は通りにあるカフェに入って行き、そして、キョロキョロと中を見回している。すると、そんな彼女に気が付いたひとりの男性が、サッと手を挙げると、弥生はその男性の座るテーブルに近付いて行き、席に着いた。
(何なの?あれ・・・。)
訝しげに、2人の様子を見つめる七瀬の耳に
「主任。」
彼女の様子を心配するように呼び掛けて来る田中の声が聞こえて来て、ハッと我に返った。
「ごめんなさい。ちょっと知り合いに似た人がいたからびっくりしちゃって。でもやっぱり違うみたいだから・・・。行きましょう。」
そう言って、笑顔を見せると、七瀬は足早に歩き出した。
それからの七瀬は、何事もなかったかのように振る舞ってはいたが、その内心は乱れていた。終業時間を迎え、足早にオフィスを後にして、会社の建物を出た途端、彼女は大きく1つ息を吐いた。
(なんだったのよ、あれ・・・。)
そんな思いが改めて浮かんでくる。知り合いかと思ったけど、人違いだった・・・田中にはそう取り繕った七瀬だったが、その言葉が嘘であることは、自分自身がよくわかっている。昼間見た光景が、七瀬の瞼の裏に甦って来る。
あの時、向かい合って座った2人の様子は、とても親密そうで、少なくともビジネスで、会ってるようには七瀬の目には映らなかった。